KDDIがau WALLETポイントを「Pontaポイント」に統合 筆者撮影
12月16日、KDDIがPonta運営元のロイヤリティマーケティング、ローソン、三菱商事と共同会見を開き、ポイントやID基盤を統合することを発表しました。
ローソンといえばドコモのイメージが強かったものの、全体を見渡してみると意外と相性の良い組み合わせになっています。
■ドコモ色の強かったローソンがKDDIと組んだ
今回の発表により、2020年5月以降にKDDIはポイントやID基盤をPontaポイントに統合。KDDIはロイヤリティマーケティングとローソンに出資します。詳細は年明け以降、順次明らかになるようです。
これまでKDDIは、高橋誠社長が「スマホと口座が1対1で紐付く時代になる」と語るように「au WALLET」を展開。ここにポイントや決済を集約しつつ、今後は金融サービスを拡大する構えでした。
2019年2月にauが打ち出したスマートマネー構想
キャッシュレスではau WALLETプリペイドカードを展開しており、スマホ決済のau PAYでは楽天と組むことで加盟店を一気に増やしたものの、auユーザー以外を取り込むオープン化に出遅れた感がありました。
一方、ローソンは共通ポイント「Ponta」を導入していたものの、2015年にはNTTドコモと業務提携。dカードで支払えば最大5%還元を受けられる施策などにより、Pontaからdポイントに移行する人が増えていたのではないかと想像できます。
ドコモの2015年夏モデル発表会。ローソンとの業務提携を発表した
国内で広く普及する共通ポイントとして、Tポイントはソフトバンク、dポイントはドコモ、楽天スーパーポイントは楽天と、それぞれ通信キャリアと紐付いていることを考えれば、最後に残ったPontaとKDDIが組むのは必然的な流れといえるでしょう。
au PAYとPontaの加盟店を合わせてカバー範囲が広がる
■年間2000億超のPontaポイントが発生
今回の提携で注目すべきは、毎月Pontaポイントがauユーザーに付与されるようになる点です。auの携帯電話や固定回線を利用すると1000円に10ポイントがたまるほか、au PAYによる支払いにもPontaポイントが付与されます。
これまでKDDIは年間2000億超のau WALLETポイントを付与していたことから、これが丸ごとPontaに置き換わることになります。この2000億ポイントを持ったauユーザーが、Pontaやau PAYの加盟店に向かうことになります。
ローソンとKDDIの間でポイントが付与・消費されるサイクルが生まれる
逆にローソンユーザーは、dポイントに移ってしまった人もいるでしょう。これに対してKDDIは、ローソンでのau PAYの利用で最大20%を還元するキャンペーンを開始。dカードの5%還元を上回るものになりました。
ちなみにローソンはドコモからKDDIに「乗り換えた」わけではなく、ローソンはドコモとの業務提携は継続していくと説明しています。ローソンへの出資比率はドコモが2.09%、KDDIが2.1%とわずかにKDDIが多い程度にとどまっています。
■2020年は携帯キャリア主導の還元合戦か
ローソンは次世代型コンビニサービスとして、ネットとリアルを融合するOMO(Online Merges with Offiline)というキーワードを挙げ、モバイルオーダーやサブスクを利用した新サービスの可能性を示しました。
それに加えて、スマホ決済の分野ではコンビニ最大手のセブン-イレブンが7payの失敗により大きくつまづいています。このタイミングでローソンがどれだけ反撃できるかに注目です。
また、PontaにはApple Payのポイントカード機能を利用して、ローソンでは1回の操作で「ポイント付与」と「決済」が同時にできる仕組みがあります。おサイフケータイにも似たような機能はありますが、KDDIによる統合後もこうしたPontaの使い勝手の良さは残ってほしいところです。
ローソンで「Apple Payで」と言って支払えばポイント付与と決済が同時にできる
一方、KDDIはPonta導入に合わせて還元キャンペーンを仕掛けることを示唆しています。キャッシュバックや端末割引から解放された携帯キャリアはお金が余っているとの声も多く、「ならば携帯料金を下げよ」と横やりが入る可能性はあるものの、このまま行けば還元合戦が巻き起こりそうです。