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NASAの低ソニックブーム実験機X-59 最終組み立てにゴーサイン

超音速飛行について回るやっかいな騒音「ソニックブーム」。日本のJAXAなど各国でこれを小さくする研究が行われていますが、NASAが手がける実験機「X-59 QueSST」が最終組み立て許可を得たと2019年12月17日(現地時間)に発表されました。

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ソニックブームは、超音速で飛ぶ飛行機によって圧縮された空気が衝撃波となり、減衰されて地表に届く際、大きな破裂音となる現象。これと似た現象に、新幹線など高速で走る鉄道がトンネルに入った際にトンネルの出口で「ドン!」という音がする、トンネル微気圧波(俗称:トンネルドン)があります。どちらも圧縮された空気が元に戻る時、生じる音です。

ソニックブームの原因となる衝撃波は、大気中を超音速飛行する以上、発生が避けられません。そこで、なるべく耳障りにならない程度までソニックブームを低減させられないか、という研究が各国で進められています。

日本でもJAXAによる「D-SENDプロジェクト」という技術研究があり、縮小モデル(C3CM)を使った飛行試験が2015年にスウェーデンのエスレンジ試験場で実施され、従来よりソニックブームを小さくすることに世界で初めて成功しています。

NASAの研究はこれに続くもので、実際にパイロットが乗って操縦するサイズの実験機を作り、飛行試験を行います。飛行機の開発を担当したのは、マッハ3以上で飛ぶジェット偵察機SR-71の開発で知られる、ロッキード・マーティンのプロジェクトチーム「スカンクワークス」。

ソニックブームを低減するには、飛行機の進行方向に対する断面積が滑らかに変化していくことが重要。このあたりは、新幹線車両がトンネル微気圧波による騒音(俗称:トンネルドン)を小さくするように設計するのと共通しています。

機首は先端をできるだけ長く延長し、カモのクチバシのような形状に。主翼は薄くなるため、強度を保ちやすいデルタ翼となります。また、構造上操縦席の前部風防(キャノピー)が小さくなるため、パイロットは小型カメラの映像を頼りに操縦します。

X-59 QueSST(Quiet SuperSonic Technology)を作るにあたっては、総額2億4750万ドル(約270億6800万円)強の予算がつけられ、作業が進められてきました。プロジェクトは費用対効果を検証するチェックポイント(Key Decision Point=KDP)が設定されており、NASAの委員会で審査されます。

今回、実機の組み立てを承認するか否かというD審査(KDP-D)が行われ、組み立ての承認が決まりました。NASAでは2020年後半に再度審査を行い、2021年に計画される初飛行の承認を決める予定です。



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