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ISS、稲妻嵐が宇宙に放出する電磁パルスが発するガンマ線と“エルヴ”を観測

耳長の種族ではありません。

2018年10月10日の時刻は20時01分。インドネシアのスラウェシ島のすぐ東に発生した雷雲の中で、稲妻が閃きました。当時、国際宇宙ステーション(ISS)はその真上を通過しており、そこには稲妻がガンマ線の閃光を発生させるのを観測する機器が一式揃っていました。

その嵐は同時に、大気の最上層に紫外光と可視光の輝く輪を放射したのでした。

ふたつの現象を同時に捉えた初の試み

今日、科学者たちはこの観測結果を発表していますが、これは「Terrestrial gamma-ray flash(地上ガンマ線フラッシュ)」または略してTGFと、雷雨に関連する大気中の光学現象で、電離層放射の薄暗い円盤である「Elve(エルヴ)」(超高層雷放電)の可視光成分の両方を初めて捉えたものとなっています。

この観測は、雷、嵐によって発生した放射線、大気の頂上における電磁現象の間の関係についての多くの証拠を提示する一方で、気候が生み出す大自然の放射能への好奇心をさらに例示してくれます。

この研究の筆頭著者である、デンマーク工科大学のTorsten Neubert氏が、米Gizmodoに「この嵐の対流圏の中で、私たちは宇宙への扉をノックしています」と語ってくれました。言い換えると、大気の最下層にある嵐が、高度100kmの地球と宇宙の境界に影響を及ぼしている、ということなのです。

エルヴとは

雷雨の中にある強い電界は、物理学者が使う加速器のように粒子を加速させる能力を持っています。これらの加速された粒子は、雲の中での暴走連鎖反応によってガンマ線と呼ばれる高エネルギーの閃光を放射し、その結果がTGFとなります。

一方で「Emission of Light and Very Low Frequency perturbations due to Electromagnetic Pulse Sources(電磁パルス源による光の放射と非常に低い周波数の摂動)」の略語である「Elves(エルヴス)」の発生は一般的ですが、宇宙の端にある直径数百kmの地域を照らすのは、見たくても見られない現象です。

エルヴスは、高振幅の電磁パルスによって生み出され、電離層まで到達して粒子を刺激することで光を発生させます。TGFは、すでに嵐の中にある明るい無線周波パルスと関連しています。そうした無線周波パルスもまた、エルヴを生成する電磁パルスを伴う可能性が高いものの、リアルタイム生成される過程が観測された例はあまりありませんでした。

研究者たちは、雷雲が発生させる強烈な電界と、リーダーとなるプラズマが雷雲の中の反対電荷の領域で繋がる領域、つまり稲妻の始まりを観測しました。そして、光の信号と紫外線の放出が、わずか30~40マイクロ秒(1秒間は100万マイクロ秒)しか続かないTGFと並んで始まるのを見ました。すると、稲妻が電流パルスを発生させ、それが上向きに移動してエルヴを始動させたのでした。Scienceに掲載された論文いわく、研究者らはリーダーの出現によってTGFが生成され、雲の中の稲妻によって電磁パルスが生成され、その結果エルヴが生成された、と定義しています。

ISSに搭載された機材

天文学者たちは、ISSに搭載されたAtmosphere-Space Interactions Monitor(大気圏宇宙相互作用モニター)、略して「ASIM」と呼ばれる機材を使用しました。そこには2つのX線とガンマ線の検出器、3つの紫外線と可視光線の検出器、そして2つの可視光線カメラがあり、すべて真下を向いています。

ASIMのデータには、世界中の雷を発生させる嵐を観測する地上センサーを備えた、World Wide Lightning Location Network(雷放電位置標定ネットワーク)のデータが添付されています。

とにかく珍しい観測だった

今回の研究には不参加の、カリフォルニア大学サンタクルーズ校のデイヴィッド・スミス物理学准教授は、米Gizmodoに対して「今回の研究により、雷とTGFとエルヴズの光学対応天体との関係が、理論的な研究を超えて明らかになりました」と話してくれました。

また、この研究はASIMが機能しており、こうしたプロセスを詳細に説明できることも示しました。

ASIMの面目躍如

Neubert氏は、「これらの結果が、実験への投資が報われたことを表しています」と話しました。ASIMの背後にある国際的な協力は、これからも雷に関連する激しい現象を引き起こす、多くの謎を理解するための取り組みを続けていくでしょう。



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