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きな臭すぎる投資会社による「.org」ドメイン管理組織の買収。Mozillaなども抗議

「.org」を利用している団体が、こぞって売却に反対する表明。「Save.ORG」というサイトを立ち上げた

◆投資会社が「.org」ドメイン管理組織を買収

ドメイン、「.org」についてもめ事が発生している。「.org」は、「.com」などと同じ、インターネットの、gTLD(ジェネリック トップ レベル ドメイン)だ。

インターネット上の住所は、「mail.google.com」のようなドメイン名で表される。「com」が最も大きな分類でトップ レベル ドメインと呼ばれる。以下「google」「mail」と、左にいくほど小分類になる。

このトップ レベル ドメインには、いくつか種類がある。日本でよく見る「.jp」は、ccTLD(国別コード トップ レベル ドメイン)と呼ばれるものだ。「.org」や「.com」は、gTLD(ジェネリック トップ レベル ドメイン)と呼ばれる。

その中でも「.org」は、非営利団体などで利用されることが多い。代表的な「.org」ドメインには「wikipedia.org」や「mozilla.org」がある。

この「.org」ドメインの周囲で、現在大きな炎上が起きている。最初の火種は今年の6月末、「.org」ドメインの価格上限を撤廃する決定がなされたことだ。賛成は6件、反対は3000件。それにも関わらず、この話は通ってしまった(GIGAZINE)。

この要請をおこなったのは、「.org」の管理をおこなっている PIR(Public Interest Registry)という企業だ。この PIR を、11月の下旬に、投資ファンドの Ethos Capital が買収した(The Verge)。「上限を撤廃」した直後に「投資ファンドが買収」したのだ。そこに何かの思惑があったとしてもおかしくない。

いや、実際に疑いがあるのだ。少なくとも、多くの人が「思惑がある」と考えている。その理由を、gTLD の歴史をたどりながら、少し解説しようと思う。

◆ドメインの種類、その歴史

インターネットの「場所」は、ドメイン名によって示される。その中でも gTLD(ジェネリック トップ レベル ドメイン)は、中心的な役目を果たしている。

この gTLD が策定されたのは1984年。「commercial」(商業)をあらわす「.com」、「education」(教育)をあらわす「.edu」、「government」(政府)をあらわす「.gov」、「military」(軍事)をあらわす「.mil」、「organization」(組織、団体)をあらわす「.org」。1985年の運用開始時には、この5つに「.net」が加えられた(IANA)。

その後、大きな変化が起きたのは、1998年の ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)の設立以降だ。ICANN は、ドメイン名やIPアドレスなどを調整する民間の非営利法人だ(JPNIC)。

2001年には、「.biz」「.info」「.name」などのいくつかの gTLD が追加された。また、「.museum」などの sTLD(スポンサード トップ レベル ドメイン)も作られた。

2005年には、「.mobi」「.jobs」「.tel」など、sTLD の数が増えた。2011年には、「.xxx」というアダルト向けの sTLD も加わった。そして2012年からは、gTLD の自由化が始まり、多くの gTLD が追加された(JPNIC)。

◆買収したのは、ICANNの元最高経営責任者が関係する先

実は、この2012年に、ファディ・チェアデという人が、ICANN の最高経営責任者になった。彼は任期が終了したあと、2016年に投資会社Abry Partnersに参加した。そして、Donutsという会社の買収を主導した。

Donuts という会社は、240以上のトップレベルドメインを持っている。その様子は、トップレベルドメイン一覧 – Wikipediaに、大量の「ドーナツ」という名前があることからも分かる。

この Donuts の共同設立者の1人であるJonathon Nevettが、2018年に PIR の CEO に就任した。その翌年の2019年に、前述の価格上限の撤廃を要請して認められる。

その裏で、Ethos Capitalという投資会社が2019年に設立される。CEO は、Abry Partners にいたErik Brooks。Ethos Capital は、2019年11月の下旬に PIR を買収した。設立1年も経たずに買収したのだ。その目的で作られた会社と思っても、それほどおかしくはないだろう。値上げの準備は整っているから、あとは、Ethos Capital が「.org」の値段を上げるだけだ。

こうした背景があって、「.org」を利用している団体が、こぞって売却に反対する表明をおこなうことになった。そうした活動のひとつとして、Save.ORGというサイトが立ち上がり、署名を募っている。また、Firefox を開発している Mozilla も公開質問状を提出している。

今回の売却価格は、1200億円超($1.135 billion)だったそうだ。上限撤廃された PIR の価値は、4400億円~6600億円($4~$6 billion)程度あるだろうとも言われている(GIGAZINE)。

この「.org」ドメインの売却について、ICANN は12月10日に30日間の保留をおこなうと発表している(ICANN)。

最終的にどうなるのか、現時点では分からない。ただ、多くの団体や組織が関わることなので、動向を見守っていきたいところだ。

<文/柳井政和>

【柳井政和】

やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。



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