5秒以内にタッチダウンを済ませます。
NASAの宇宙探査機OSIRIS-REx(オシリス・レックス)のチームが、小惑星Bennu(ベンヌ)からサンプルを採取する場所を決定しました。幅140mほどのクレーターで、「ナイチンゲール」と名付けられています。
候補地は4箇所あった
NASA's OSIRIS-REx
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@OSIRISREx
· Oct 25, 2019
It’s Thuuurrrsday.
And wow do we have something for ya.
Kingfisher, ladies and gentlemen.
Image details: https://bit.ly/2BI7ZLv
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NASA's OSIRIS-REx
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@OSIRISREx
Site Kingfisher is just north of Bennu’s equator (near site Osprey). The site is located in the middle of the relatively clear space (lower right). The image was taken on October 19, from 0.6 miles (1 km) away. The small crater is 9 ft (2.7 m) across, ~ the length of a dolphin.
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3:07 AM - Oct 25, 2019
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そしてサンプルの採取場所を選択することが、ミッションの次のステップとなっています。
ベンヌの歴史を如実に語る資料が手に入るかも
アリゾナ大学ツーソン校でOSIRIS-RExの主任研究員を務めるダンテ・ロレッタ氏は、NASAのプレス・リリースの中で、「微粒子が豊富に存在していることが決め手になってナイチンゲールがOSIRIS-RExの研究者らに選ばれた」と説明しています。ナイチンゲールの直径は約140m、ベンヌの北半球にあります。この位置とナイチンゲールが比較的新しいクレーターであることを踏まえると、サンプルとなる物質は太陽系初期にベンヌが形成されてからあまり変化していないと思われます。
5秒で済まし、3回トライできる
OSIRIS-RExは、「ナイチンゲール」にドスンと着陸するわけではありません。5秒以内に小惑星に接近してサワっと触れてから、サンプルをガシっと捕まえてまた飛び立ちます。そしてOSIRIS-RExは、このアクションを3回試みることができるよう作られています。
ベンヌには地球にぶつかる可能性が超微妙にある
ベンヌは炭素が詰まった直径492mの小惑星で、地球とほぼ同じ距離で太陽を周回しています。その周回は私たちがいる地球にすごく近付くこともあるため、NASAの科学者たちは、この小惑星が2175年~2199年の間に地球に衝突する確率を1/2700と計算しているくらいなのです。
OSIRIS-RExミッションは2016年9月に始まり、昨年12月にベンヌに到着。1月には軌道に乗りました。今回のミッションは、NASA初の小惑星サンプル回収ミッションで、もし成功すればアポロ時代以来最大の、地球外物質サンプルを回収することになります。ベンヌのような炭素質小惑星の物質は、初期の太陽系に存在する物質の種類の記録として利用でき、もしかすると地球上の水と生命の起源に関する疑問に答えられるかもしれません。
もし駄目なら「オスプレイ」
「ナイチンゲール」のクレーターに、危険がないわけではありません。NASAの発表いわく、クレーターの着陸の安全な部分は直径わずか16mで、クレーターの縁には大きな石があり、サンプル採取時に危険を及ぼす可能性があるとのこと。
なのでOSIRIS-RExチームは、もし「ナイチンゲール」でのタッチダウンを中止せざるを得なくなった場合の代替案として、「オスプレイ」が選ばれました。
米Gizmodoの感想
野鳥観察が好きな米Gizmodoのマンデルバウム記者は、鳥の姿で描かれたエジプト神にちなんでクレーターが名付けられたことに興奮していると言います。一般的なサヨナキドリは、ヨーロッパ、南西アジア、北アフリカで見られ、(しかし南北アメリカにはいない)その美しい歌声で有名な鳥です。NASAが米国の宇宙機関であることを考えると、個人的には、北米で発見されたボボリンクやツグミのような鳴き鳥を選んだかもしれません。ですが、記者は屋内型の天文ファンにすぎない、と自分を表しています。
OSIRIS-RExは、ベンヌの調査と高解像度の地図作成を続けた後、チームはサンプル収集のためのリハーサルを計画する予定です。OSIRIS-RExは2021年にベンヌを出発し、2023年に地球に帰還する予定です。
Source: Twitter (1,2), NASA (1,2),