すでにさまざまなスマートフォンで採用されている、被写体を際立たせ背景をぼかす撮影効果の「ポートレートモード」。米グーグルは技術ブログGoogle AI Blogにおいて、自社のスマートフォン「Pixel 4」で、どのようにしてポートレートモードの品質を向上させているのかについて解説しています。
以前のPixelスマートフォンでは、デュアルピクセル技術によるオートフォーカス機能が搭載されていました。この技術では全ピクセルを半分に分け、異なる絞り値で撮影するのですが、これはポートレート撮影における深度の推測にも利用されていました。
Pixel 4では、背面に1220万画素のデュアルピクセル・メインカメラと、1600万画素の望遠カメラが搭載されています。そして、メインカメラのデュアルピクセル技術により水平方向の位置情報、2つのカメラから垂直方向の位置情報を推測することで、より正確なポートレート撮影を実現しているのです。
さらにPixel 4とPixel3/3aでは、ボケ方が「一眼レフカメラ風」になるように改善されています。これは上画像のように、スマートフォンでも玉ボケに近い効果が得られることを目指したものです。
以前の画像処理では、最初にセンサーデータを画像データに変換するトーンマッピングを行い、その後に半透明のボケ画像を挿入していました。しかしこの方法では、高コントラストな玉ボケを得ることができません。
そこで新方式では、HDR+により生成されたイメージにボケを追加し、その後にトーンマッピングを施すことで、より明るくはっきりとしたボケを生み出すことに成功したのです。
スマートフォンのカメラやセンサーは、そのサイズや性能で依然として一眼レフカメラやミラーレスとは大きな差があります。しかしその差をソフトウェアの差で埋めるという試みは、今後の発展を大いに期待させてくれます。
2019-12-17 05:10:30