NECは12月13日、複数台・複数タイプの無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)などの自律移動ロボットを集中的に管理・制御可能な自律移動ロボット管制ソフトウェア「NEC マルチロボットコントローラ」を2020年2月から販売開始すると発表した。提供形態はソフトウェアライセンスによる提供となり、価格は個別見積もり。
近年、工場や倉庫などの省力・省人化のため、AGVなどの自律移動ロボットの導入が進んでいるが、人やモノが煩雑に動き回りレイアウトが動的に変化する現場や、物流量の変動により時々刻々と業務状況が変化する現場に、柔軟に対応することが難しく、期待する効果が得られないという課題があったほか、業務内容に合わせて複数台・複数タイプの自律移動ロボットを運用するためには煩雑な管理が必要という課題もあったという。
新製品は、自律移動ロボットの走行経路を算出するNEC独自の機能をはじめ、多種多様な自律移動ロボットを集中制御できる機能を有しており、種類や用途の異なる自律移動ロボットを同じシステム上で集中制御でき、自律移動ロボットによる搬送業務の効率化や安全な運用を実現するとしている。
また、自律移動ロボットの導入を進めるには、システム全体の安定性やセキュリティの確保が必要となることから、現場で利用される無線通信を安定化する技術や、現場に配備するデバイスやロボットなどの乗っ取り・なりすましを防ぐIoTセキュリティ製品と新製品を組み合わせることで、システム全体に高い堅牢性を提供するという。
主な特徴として、これまで現場で運用されてきた一方通行や一時停止などのルールを設定することで、現場のルールに適応した最適な走行経路を生成できることに加え、突発的な業務要求や障害発生に対応して、リアルタイムに経路を更新し、自律移動ロボットの移動コストが最小となる走行経路を自動で算出する。
さらに、倉庫管理システム(WMS)や製造実行システム(MES)など、既存の業務システムと連携することで、これらのシステムからの要求に応じて自律移動ロボットを制御。加えて、集中制御下の自律移動ロボットから収集した情報を基に、複数の自律移動ロボット同士が干渉しない走行を実現するという。
今回、新製品に対応する自律移動ロボットの第1弾として、不整地などでの高い走破性を誇るトピー工業のクローラタイプ走行ロボットへの採用が決定しており、10月からトピー工業において実施している実証実験終了後、2020年2月から提供する。
今後、AGV以外にも自動フォークリフトや点検・警備ロボットなど、さまざまな自律移動ロボットへの対応を進め、ラインナップを強化し、製造・物流業などを中心に今後3年間で工場・倉庫・物流施設など300拠点に導入することを見込んでいる。