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Appleの反トラッキング機能が広告の世界を揺さぶっている

ユーザーのウェブ上の行動を追跡して、その情報をもとに広告のターゲットを狙い撃ちにするターゲティング広告は広告として成功率が高い一方で、ユーザーのプライバシーを侵害するものだという指摘も存在します。Appleはターゲティング広告を制限する方針を取っているのですが、これがいかに広告業界に大きな影響を及ぼしているかを、The Informationが独自の調べで明らかにしています。商品を購入する可能性が高いと考えられるユーザーにターゲットを絞ったターゲティング広告は価値が高いものと認識されており、ターゲティング広告は記事作成時点で、デジタル広告全体の80%を占めています。しかし、AppleのITPは上記のようにウェブ全体の動きに対して影響を与え続けており、広告会社はより裕福なSafariユーザーにリーチすべく、コンテキスト広告に示されるような、新たな一手を探しているとのことです。

AppleはIntelligent Tracking Prevention(ITP)というプライバシー保護機能を2017年9月に公開し、2018年にはアップグレード版となるIntelligent Tracking Prevention 2.0をリリースしています。多くの広告会社はユーザーのCookieの情報をもとにターゲティング広告を行いますが、ITPはSafari上のサードパーティーCookieを抑制するというものであるため、広告会社はターゲティング広告のための情報の大部分を失うこととなりました。これを受け、Google Chromeに対する広告費は上昇しているのに対し、2017年からSafariユーザーへの広告費は大きく減少したそうです。

実際のところ、iPhoneでSafariを使っているユーザーのウェブにおける行動を第三者企業が追跡できるのは、全体の9%ほど。一方で、Google Chromeをスマートフォンで使っているユーザーの場合、行動全体の79%が追跡可能とのことです。このためChromeを対象とした広告が選ばれやすい状況ではあるものの、iPhoneユーザーは裕福である傾向が高いため、広告会社にとって、iPhoneユーザーへのターゲット広告は非常に魅力的なものとなっています。

ターゲット広告を取り締まるAppleの姿勢は、ティム・クックCEOの長年にわたるプライバシーキャンペーンを反映したものです。Safariは2003年に発表されて以来、外部企業からのCookieを自動的にブロックしてきましたが、広告企業はすぐに抜け穴を発見してCookieを取得しようとしてきました。ITPの導入はこの抜け穴を事実上、防いだことを意味しています。

Safariを使用するユーザーは閲覧履歴に基づいたデジタル広告が表示されるため、ユーザーが読んでいる記事に関連した広告が表示され、プライバシー問題に抵触しないコンテキスト広告のフォーマットが増えだしているともいわれています。一方、サイト運営者はSafariユーザーをターゲットにした広告枠を2017年以前と同じ価格で販売することができず、トラッキングを含まない方法、自分たちが所有する情報を基に広告を売る必要が出てきました。またAppleの姿勢に続き、FirefoxやMicrosoft Edgeでも、ターゲティング広告がブロックされはじめています。



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