超高解像度スマホ、5万円台で上陸
いよいよ日本でも、シャオミ(Xiaomi、小米科技)のスマートフォンが買えるようになります。第一弾として販売されるモデルは「Mi Note 10」と「Mi Note 10 Pro」の2機種。このうち「Mi Note 10」を、いち早く試すことができました。
○6.47インチ有機EL搭載の大型スマホ
「Mi Note 10」は、ドロップ型のノッチを採用した約6.47インチ(2,340×1,080)の有機ELディスプレイを搭載しています。6.47インチというと「HUAWEI P30 Pro」(約6.47インチ)や「Galaxy S10+」(約6.4インチ)と同じくらい。発売中のスマートフォンの中では、比較的大きい部類に入るでしょう。
一方で上下左右の額縁はほかと比べてもかなり狭く、特に左右は角が大きくカーブしたデザインになっているため、ディスプレイサイズの割には、持ちやすいサイズ感に収まっているという印象です。
なおスペック上のサイズは高さ157.8×幅74.2×厚さ9.67mm、重さ208g。これは後に紹介する「Mi Note 10」の特徴ゆえなのですが、ライバル達と比べると、厚さと重さが少々ヘビーになっています。
○世界初の約1億800万画素カメラをはじめ、6つのカメラを搭載
「Mi Note 10」の最大の特徴はカメラです。なんと108MP(約1億800万画素)という、ちょっとびっくりする画素数のカメラが搭載されています。イメージセンサーサイズは1/1.33インチで、これもスマートフォンでは最大級。108MP広角カメラ(F値1.69)に加えて、5MPの光学5倍カメラ(F値2.0)、12MPのポートレート用光学2倍カメラ(F値2.0)、20MPかつ視野角117°の超広角カメラ(F値2.2)、さらに1.5cmまで寄れる2MPのマクロカメラと、背面だけで5つのカメラと2色のフラッシュライトを搭載しています。これが他のスマートフォンと比べての厚く、重くなっている理由です。
32MPのセルフィーカメラ(F値2.2)とあわせると、搭載されているカメラは合計6つ。ここまでくるとちょっとやり過ぎ感もありますが、『Mi Note 10』は決して奇をてらった端末ではありません。実際にいろいろな場面で写真を撮ってみましたが、作例を見てもらえればわかるように、搭載されているカメラの種類が多い分どんなシーンもオールマイティに撮れます。つまり、写真や動画を撮る機会の多い人には、なかなかよく考えられたカメラであるということです。
●1億800万画素カメラを試した!
カメラのUIはシンプルで、左右にスライドして切り替えられる撮影モードはスローモーション、ショートビデオ、ビデオ、写真、108MP、ポートレート、夜景、パノラマ、プロの9つ。カメラを起動すると初期値では「写真」が選択されていて、マクロ、超広角(0.6倍)、1倍、2倍、5倍とタップしてズームできるようになっています。
さらに指を上下にスライドすることで、超広角0.6倍から超望遠50倍まで無段階のズームイン、ズームアウトが可能。このごか「AI」をオンにしておくとシーンを自動認識して、最適な設定にしてくれる機能もあります。
○花、風景、料理、夜景を撮影
「夜景モード」はシャッターボタンをタップしてからしばらくじっと構える、長時間露光のような撮影モード。オートで撮影するよりもパキッとした写真になります。かなり倉シーンでも明るく撮れます。
108MPで撮った写真の仕上がりですが、正直なところスマートフォンのディスプレイで見ているだけだと、他のカメラとの違いがあまりよくわかりません。そこでPCに取り込んで拡大してみたところ、108MPではやはり細部までくっきりと写っていることがわかりました。
ただしその分データサイズも大きく、1枚15MBにもなっている写真もありました。「Mi Note10」の内蔵メモリは6GB、ストレージは128GBで、残念ながらmicro SDカードには非対応。もし108MPで撮りためていくなら、写真のバックアップをどうするかも考えておいた方がいいかもしれません。
●マクロ撮影が意外とあなどれない
どうしても1億800万画素カメラにばかり目が行くのですが、この「Mi Note 10」のカメラのすごいポイントのひとつが、実はマクロ。1.5cmまで寄れて、2~10cmの範囲でAFが効きます。マクロカメラは意外と搭載しているスマートフォンが少なく、料理でも花でも、ぐっと寄ると全然違う景色が広がっておもしろいです。
○ポートレートは後からボケを調整可能
ポートレートモードでは、左右のスライドで絞りを変更して、背景のぼけ具合を調整することができます。作例を見てもらえばわかるように、ぬいぐるみの毛羽立ちなど背景との切り分けが難しいところも、きれいに切り取られていて自然な感じでは。なおこのように背景のぼけ具合を左右する絞りは、撮影後に変更することもできます。
このほか動画は4K撮影が可能。960fpsのスーパースローモーションのほか、速度を変えた短いムービーが撮れるTikTok向けの機能や、ビデオの自動編集ができるVlog用の機能なども用意されています。またフロントカメラでは、LIVE中継に使えそうなリアルタイムのビューティー加工もできます。
○価格は5万円台! 実は質実剛健なコスパスマホ
このようにカメラに特徴のある「Mi Note 10」ですが、実は筆者が使ってみて感心したのはカメラだけでなく、かゆいところに手が届くUIもそうでした。OSはAndroid 9ベースの「MIUI11」なのですが、いろいろと細かなカスタムができるようになっています。
機能面ではこのほか、FMラジオや赤外線リモコン機能も備えていますが、テレビチューナーやおサイフケータイは非搭載。なお、バッテリーは5,260mAhでこれまたスマホ最大級となっています。実際にカメラをがんがん使っていても、電池の減りが速いと感じることはありませんでした。もし万が一バッテリー切れとなっても、付属の30W対応ACアダプターで高速充電ができるのでその点も安心。ただし、最近流行りのワイヤレス充電には非対応となっています。
マクロからワイド、50倍望遠まで、どんな写真も撮れる「Mi Note 10」は、普段から写真をがんがん撮って楽しんでいる人や、自分で動画配信をしているなど動画をとる機会の多い人には特におすすめのスマートフォン。各社のフラッグシップモデルが10万円超えも当たり前の中、これだけのカメラ機能を備えながら、価格が税別52,800円に押さえられているのも、おすすめの理由のひとつです。
この価格を可能にしたのは、カメラと並んでこの機種のもうひとつの特徴といえるチップセット。カメラの機能は完全にフラッグシップのそれですが、実は「Mi Note 10」が採用しているチップセットは、ミドルハイクラスの「Qualcomm Snapdragon 730G」なのです。108MPで撮影する際に連写ができなかったり、夜景モード撮影時に少々時間がかかるのも、おそらくはこのチップセットが原因です。かといって使っていてストレスを感じるというほどではなく、十分に実用的です。
スマートフォンの価格が高くなる傾向にある中で、自分の用途と合致さえしていれば、すべての機能がフラッグシップレベルになくてもいいというのは、大変合理的な考え方。その意味ではシャオミは日本市場への進出に向けて、実にうまいところを突いてきたと言えるかもしれません。