【ストックホルム=福井健人】2019年のノーベル化学賞を受賞する吉野彰・旭化成名誉フェローが8日夕(日本時間9日未明)、滞在先のストックホルム・グランドホテルで在スウェーデン日本大使館が主催する記者会見に臨んだ。8日午前の記念講演の感想を聞かれ、「私にとって重要なイベントが1つ終わった」とほっとした表情を見せた。
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受賞講演は、研究の内容を受賞者自らが説明する一大行事。授賞式とならんで世界の注目を集める。
吉野氏は講演について「地球環境への思いを残したかった。日本だけでなく欧米のメディアがどう捉えたか楽しみだ」と振り返った。また自己評価を問われると「77~78点くらいかな」と語った。
リチウムイオン電池の今後について「ノーベル賞をいただいたことで(環境問題の解決に向けて)大きな責任を負わされた」と表情を引き締めた。日本の基礎研究力の低下については「大学の制度を見直すべき時期に来ている。基礎をやるなら徹底的に基礎研究ができるようにすべきだ」とも話した。
10日に迫ったノーベル賞授賞式については「受賞講演と同じくらい重要な行事。メダルの受け取り方を教えてもらうなどまだまだ準備中だ」と述べた。
8日午後には在スウェーデン日本大使館主催のレセプションに参加。夜はノーベル賞記念コンサートに出席した。