搭載プロセッサーに悩まされ Itanium 2への移行を余儀なくされた
前回の最後で、「Itanium 2でなければうまくいったんじゃないか」とは書いたが、ただこれは結果論でしかない。
McKinleyが出た当初と言えば、2002年頃になるわけだが、当時Itanium 2以外にマシなプロセッサーがあったのか? と言うとかなり怪しかったからだ。
インテルはPentium 4とXeonをメインに据えていたが、これがそのあと悲惨なことになったのはご存じの通り。後継のCoreプロセッサーについても、もちろん2Pくらいであれば十分であるが、コア数が増えると特にXeon向けはひどいことになり、PaxvilleだのGreencreekだのと失敗を重ねていた。
この連載では取り上げないが、そもそも製品化に失敗したWhitefieldという製品もある。つまるところ、Pentium 4/Core系でまともなマルチプロセッサーのサーバが構築可能になったのは、Nehalemが投入された2009年あたりからである。
「7年後にまともなプロセッサーが出てくるから、それまでItanium 2は待て」などと言われて待つ経営者はあまりいないだろう。
加えて言えば当時のPentium 4/Core系列は、RAS(Reliability/Availability/Serviceability)機能が貧弱というか、最小限でしかなかったため、これは、TandemのNon-stopはまだしもDECのAlpha Serverの後継としてはかなり厳しかった。
TandemのNon-stopにしても、もちろんRAS機能がそれなりに充実していれば、その方が稼働率を上げやすい。NonStop Himalaya Sに採用されていたMIPS R10000はそれなりにRAS機能が搭載されていたから、これと同等レベルのRAS機能は欲しかったのは当然だろう。
Core系列でこのあたりが充実し始めたのは、2014年に発表されたIvyBridgeベースの初代Xeon E7あたりからである。「12年待てばRASも充実したXeonが出てくるから、それまで待て」と言われたら、まぁ普通は断るだろう。
AMDはまだOpteronが出てくる前の段階で、こちらも安定したのは90nmに移行したRevision D以降になるので、2002年の段階でこれにかけるのはチャレンジもいいところだった。
MIPSはそもそもアウト、Alphaもアウトとなると、後はSPARCくらいしか選択肢がないが、Sun Microsystemsとまさ市場を争ってる段階でSPARCを採用するという選択肢は、技術的以前に戦略的にナシだろう。そういう意味ではこの時点でのItanium 2の選択は必然だったとも言える。その意味では時期が悪かった、ということだろうか。
Itaniumを実装した最初のモデル HP i2000を2002年にリリース
以上のことから、2002年からHPのサーバーは順次Itanium 2ベースへの移行を開始した。最初にリリースされたのは、実はMercedこと初代Itaniumを実装した、HP i2000である。Mercedで製品出荷していいのか? という気もするのだが、実際にHPからニュースリリースも出ている。