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電池革命。従来のリチウムイオン電池の2倍のエネルギー密度を実現する固体電池が開発される(オーストラリア研究)

今やリチウムイオン電池がない生活など考えられないだろう。自分は関係ないよ? いやいや、そんなはずはない。あなたが今握りしめているスマホだってそのおかげで動いているのだから。

2019年、「リチウムイオン電池の父」と呼ばれる吉野彰さんらが栄えあるノーベル化学賞を受賞したことからも、いかに偉大な発明であるかわかるはずだ。

そんな偉大な発明であっても問題がまったくないわけではない。それは本格的な電気自動車の登場を阻んでいると言われるくらいの大問題だ。

しかしオーストラリア、ディーキン大学の研究グループが、一般的な産業用ポリマーを利用することでそれを克服する固体電解質の開発に成功したそうだ。

従来のリチウムイオン電池の2倍のエネルギー密度を持ち、それでいて爆発も発火もしない安全な全固体電池の扉を開く発明であるという。

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固体に見えるリチウムイオン電池は液体?

ざっくり説明してしまうと、従来のリチウムイオン電池は電解液の中にプラス(正極)とマイナス(負極)を浸したような構造になっている。そして、リチウムのイオンが正極から負極に流れるプロセスが充電、その反対に負極から正極に流れるプロセスが放電だ。

このようにリチウムイオン電池はイオンが移動することで機能しているのだが、そのためには電解液が必要になる。ぱっと見は固体に見える電池であっても、中には液体が使われているというわけだ。

世の中なかなかうまくいかないもので、電解液は可燃性であるために、何らかの問題が生じて温度が上昇してしまうと、爆発したり燃えたりしてしまう。安全性の面で問題を抱えているのだ。

この熱に弱いという弱点は、リチウムイオン電池のエネルギー密度を高めたり、急速充電を行ううえで障害となったきた。本格的な電気自動車や電気飛行機、携帯デバイスといった次世代アイテムの発展を邪魔してきたボトルネックだったのだ。

既存のポリマーを利用した固体電解質

今回、チェン・ファンファン博士とワン・シャオエン博士らが開発したのは、これまで電解液として利用されてきた揮発性溶液のかわりに、リチウムイオンに弱く結合した固体ポリマー素材を利用した固体電解質だ。

温度が上がっても燃えたりはしないので、従来のリチウムイオン電池の2倍ものエネルギー密度を実現することができる。

現在、商用利用されているリチウムイオン電池は最大でも250Wh/kg(テスラ、モデル3のバッテリー)程度だとされている。

しかし新開発の固体ポリマー電解質なら500Wh/kgが可能で、電池の小型化、軽量化、低コスト化を図れるようになるという。人々が期待するような10倍もの性能アップとはいかないが、それでも非常に大きなステップだ。

また一般に流通するポリマーしか使わないので、大量生産を行うのもそれほど難しくはないというメリットもある。

画期的な次世代電池の実用化へ向けて

研究グループは、これまで時計に入るようなコイン電池サイズでこの固体ポリマー電解質のテストを行なってきたが、今後はスマホに使われる電池サイズにまで拡大していく予定だそうだ。

そして、そのテストでも問題がなければ、いよいよ実用化へ向けてビジネスパートナー探しを始めるとのことだ。

この研究は『Joule』に掲載された。

References:Solid state battery breakthrough could double the density of lithium-ion cells/ written by hiroching / edited by parumo

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