スマホ向けSoC(CPUやGPUなどを1チップ化したもの)である「Snapdragon」シリーズをWindows PC向けに横展開し、いわば『インテルに宣戦布告』した格好のクアルコム。最近ではマイクロソフトの「Surface Pro X」が同社のSnapdragonベースのSoCを搭載することでも話題となりました。
そんなクアルコムが、新たなSoC「Snapdragon 8c」「Snapdragon 7c」を発表。主にエントリー向けのラインナップを拡充した形で、さまざまな価格帯のノートPCに、スマホレベルの省電力性能と常時モバイルインターネット接続をもたらすとアピールします。
(見出し画像はより高性能なSnapdragonベースのSoC搭載のSurface Pro X)
400ドル台程度(5万円程度)のPC向けとなる「Snapdragon 7c」は、主に低価格のノートPCをSnapdragonプラットフォームに置き換える製品です。Intelの同等レンジと比較してバッテリー寿命は最大で2倍になり、X15 LTEモデムを介してスマートフォン並みの常時LTE接続を実現します。また、Windows 10の最新AIアクセラレーションにも対応し、AI処理能力は5TOPS(1秒間に5兆回の命令を実行可能)に達します。
700ドル台程度(9万円程度)のPC向けとなる「Snapdragon 8c」は、先代の「Snapdragon 850」よりもパフォーマンスが30%向上。AI処理性能は6TOPS(1秒間に6兆回の命令を実行可能)に高められています。LTE接続は最大2Gbpsまで対応。なお、昨年発表された「Snapdragon 8cx」の下位バージョンとの位置づけで、性能が抑えられているほか、X50モデムと組み合わせた5G接続にも対応しません。
左からSnapdragon 8c搭載ノートPC、Intel Core i5搭載ノートPC。スマホCPUを採用する左のほうが発熱が少ない。このため、圧倒的なバッテリーの持ちやファンレス構造を実現する
なお、スマートフォン向けのARMアーキテクチャを採用する関係で、動作するアプリはARM向けネイティブのWindowsアプリ、および32bitのWindowsアプリのみ。64bitのWindowsアプリは動作しません。このため、AdobeのLightroomなど、プロ向けに64bitしか提供されていないアプリケーションは動作不可。プロユースというよりは、よりカジュアルにPCを使うユーザー向けといえます。