音声入力やジェスチャー入力ができるデバイスが多く登場しているが、やはり直接入力に勝るものはないという気がする。新しい入力方式は、確かに手がふさがっているときや入力先のデバイスから離れているときには便利だが、どこか無理をしないと成立しない。
もし手元でマウス操作のようなことができれば、それに越したことはないのではないか。そんな遠隔での直接入力が実現できそうな技術が登場した。このほどカナダのウォータールー大学の研究者が、手に着けることができる入力デバイスを開発したようだ。
・指先のちょっとした動きでコンピュータ入力を
今回開発されたウェアラブル入力デバイスは「Tip-Tap」と呼ばれ、RFIDタグを利用して指先が触れたことを感知する。
カナダ国立研究評議会(NRC)とのパートナーシップの一環として開発された同デバイスは、ドクターが手術中に手術計画図にアクセスするなどのユースケースが想定されているようだ。
安価に製造できてバッテリーも不要なので、使い捨て手袋などに搭載可能。これをはめたドクターは、タッチスクリーンやマウスに触れることなく、あるいはアシスタントを介すことなくその場でコンピュータ入力ができる。
ジェスチャー入力デバイスも開発されているが、手術中おおげさに手を動かすよりも、わずかな動作で操作できるほうが効率的だろう。
・皮膚に直接貼り付けての利用も
まずは有線のプロトタイプでベンチマークテストを実施。指先タッチ入力の技術を最適化した後に、電源供給なしのモデルの開発に至った。RFIDタグのアンテナを2つに分割し、2次元の指先入力を可能にすべく3つのチップをそれぞれの側面に配備している。
タッチポイントについてもさまざまなバージョンを試し、親指で触れる人差し指の領域をマップして、最適な位置を見出した(開発の様子は動画で確認することができる)。
こうして開発されたTip-Tapは、手袋に着けるかタトゥーのように皮膚に直接貼り付けられる。手術のほかにも、日常ではジムや工場などの手が離せない状況で使えて、離れた場所からコンピュータの操作をするのに便利だろう。