北海道大の野々山貴行特任助教らが開発した、高温で瞬時に硬化する新素材。25度(左)だと軟らかいが、60度(右)では硬くなる(野々山特任助教提供)
北海道大の野々山貴行特任助教らの研究チームは、低温では軟らかく伸びやすいが、高温になると瞬時に硬くなる高分子素材を開発した。交通事故やスポーツの接触時に摩擦熱で硬化して身を守るプロテクターなどへの応用が考えられるという。論文は26日までに、独科学誌アドバンスト・マテリアルズ電子版に掲載された。
野々山特任助教らが開発したのは、紙おむつの吸水素材などにも使われる安価なポリアクリル酸ゲルの一種を、酢酸カルシウム水溶液に浸すという簡便な方法で作成した高分子素材。温泉源で生きる好熱菌のたんぱく質が高温でも変性せずにいられる仕組みから着想を得たという。
この新素材は、低温時には網目状の3次元構造内に水分子を保持し、ゴムのように軟らかいが、温度を上げると網目を構成する高分子がまとまり、極めて硬いガラス状の状態に変化する。
低温に戻すとまた軟らかくなるほか、ポリアクリル酸ゲルと酢酸カルシウムの濃度を調整することで、硬化する温度を40~100度の範囲でコントロールできるという。
ガラス繊維製の布をアスファルト上で高速で引きずる実験を行ったところ、そのままでは破れてしまったが、この素材でコーティングした布は摩擦熱で硬くなり、ほとんど破損しなかった。
2019-11-26 02:49:36