9月にリリースされたiOS 13はバグの苦情が相次ぎ、頻繁にマイナーアップデートが繰り返されています。こうした事態を次期メジャーバージョンのiOS 14では未然に防止するため、アップルが内部ビルドの開発方法を変更しているとの噂が報じられています。この噂を伝える米Bloombergは、これまでアップルの社内エンジニアは新機能を完全にテストする前に、iOSの毎日のビルドに「詰め込んでいた」と表現しています。テスターはそうした不安定なビルドでの検証を余儀なくされるため、何が機能していてどれが不具合を起こしているのか把握は不可能だったとのことです。
それに対してiOS 14では、進行中のOSビルドでは全ての新機能がデフォルトでは無効にされており、「フラグ」と呼ばれる内部プロセスおよび設定メニューを使うことで、選択的に有効にできるオプションがあるとのこと。つまり新機能を1つずつオンないしオフにして、不具合の原因を切り分けできるわけです。
これによりアップル社内の管理者は、新OS開発の進捗状況を把握しやすくなり、リリース準備が整っていない機能は簡単に削除できることになります。
新たな開発アプローチはiPadOS、watchOS、macOSおよびtvOSなど、アップルの全てのOSにも適用されるとのこと。iOS 14はiOS 13並みに新機能の満載を予定しているものの、必要があればiOS 15までは一部機能の実装の見送りも準備しているとされ、バグだらけのままリリースを強行することはないと思われます。
そもそも、なぜiOS 13はバグだらけで配信開始されたのか。Bloombergによれば、アップル社内では6月のWWDC 19で正式発表される約1ヶ月前に、iOS 13が以前のiOS 12ほどパフォーマンスが良くないことに気づき、一部の人々は開発が「混乱」していると気づいたとのことです。
そして8月、つまり配信開始の直前に、新型iPhoneに同梱されるiOS 13.0が品質基準に達していないことを認識して、そちらの作業はほとんど中止。そして最初のアップデートであるiOS 13.1の改善に集中し、こちらがiOS 12に匹敵する品質レベルのある「実際の公開リリース」と見なされたとのこと。アップルは、iOS 13.0をインストールするのは絶望的な状況でも頑張り抜く(原文ではdie-hard)アップルファンだけが導入すると踏んでいたと伝えられています。
この記事を額面通り受け取れば、アップルはインストールしないで欲しいと祈りつつiOS 13.0を配信開始したことになります。たしかにベテランのアップル製品ユーザーは、最新OSの最初のバージョンを見送って様子見する習慣が身についている人も多いのですが、iOS 14ではdie-hardではないユーザーにも安心なバグなしOSを期待したいところです。