ヴィーム・ソフトウェア(Veeam)は11月21日、スイスVeeam Softwareのエンタープライズ戦略バイス・プレジデントであるデイブ・ラッセル氏による2020年のテクノロジー予測を発表した。これによると、ITインフラの観点からは2020年は2つの大きなトレンドが継続するという。
その1つめは、オンプレミスとハイブリッドクラウドの併用。クラウドは新たな標準モデルとなっており多くの企業が主にハイブリッドクラウドまたはマルチクラウドを使用している中で、IT意思決定者のクラウドに関する最大の懸念は、サイバーセキュリティとデータプライバシー問題になっているとしている。
2つめのトレンドは、クラウド利用の拡大に伴い、サイバー脅威がさらに拡大するということだという。このため、企業はビジネスの中核となるデータが100%復旧できる状態を担保しておく必要があると同予測は指摘する。
同予測では企業が2020年に導入検討予定の主なテクノロジー動向に関して、アプリケーション、ITインフラ、データマネジメントの3つの視点から推測している。
アプリケーションの視点では、まず、コンテナ採用の加速を挙げる。
堅牢なDevOps機能を通じたソフトウェア生産を促進するというKubernetesが、コンテナ・オーケストレーション・プラットフォームのデファクトスタンダードとしての地位を確立するという。
また、企業がミッションクリティカルと見なすアプリケーションの数が増加すると予測している。
これまで企業は、ミッションクリティカルなアプリケーションか否かを区別していたが、今後はあらゆるアプリケーションを最優先と見なすとのこと。
ITインフラの視点では、ソフトウェア定義の拡大を挙げる。
企業にとって、最も効果的なストレージ技術とハードウェアを選別する必要性は残るものの、データセンターの管理はますますソフトウェア中心になるという。
データマネジメントの視点では、クラウド・データ・マネジメント(CDM)によるデータのモビリティとポータビリティ向上、速くて確実な復旧性へのフォーカス、事業継続ソリューションのリプレースの3点を挙げている。
データのモビリティとポータビリティ向上については、企業が変化する顧客の期待を満たすために社内データのポータビリティを向上させる新しい方法を常に模索しているといい、「必要な時に必要な場所でデータにアクセスする」というビジョンは堅牢なCDM戦略によってのみ達成できることから、その重要性が2020年に高まると予想する。
速くて確実な復旧性へのフォーカスに関して、データの可用性に関するサービス・レベル・アグリーメント(SLA)と期待値は、2020年にさらに高まるといい、ダウンタイムやサービス停止が許容される閾値の減少が求められるという。
これに伴い、重点はバックアップそのものから、いかにリストアできるかというステージに移行していくとのことだ。
事業継続ソリューションについては、2020年は企業のインフラへの拡張が進むことで、バックアップテクノロジーをリプレースする傾向が高まると予想している。
新技術の導入を促進するニーズの高まりに伴い、事業継続ソリューションそのものも、そのシンプルさ、柔軟性、信頼性が優先されるようになると同予測では見ている。