11月18日(現地時間)、Appleの株価は終値で267.10ドル(約29,019円)を付け、史上最高値を更新しました。株価を押し上げる要因は、近年の中では比較的好調なiPhoneの売上だけではありません。
1兆ドルどころではない時価総額
時価総額が節目となる1兆ドル(108兆円)を超えて騒がれたのも、今となっては昔の話です。
Appleの時価総額は1.2兆ドル(130兆円)に迫りつつあります。同社の株価は2019年年明けには150ドル(約16,200円)を割り込む場面もあったものの、8月頃から一貫して上昇を開始、最近は連日のように最高値を更新しています。52週間での最安値=142.00ドルからは約88%上昇した計算です。
iPhoneの売上はそこまででもない?
最高値を更新し続ける株価とは裏腹に、iPhoneの売れ行きは右肩上がりではありません。確かにiPhone11/11 Pro/Pro Maxは市場予測を上回る売上だと伝えられていますが、それはiPhone XSシリーズと比較した場合であり、バブルに湧いたiPhone6〜7の頃とは比べるべくもないでしょう。
iPhone11/11 Pro/Pro Maxの年内出荷台数は7,500万台だと予測されていますが、iPhone7/7 Plusの際は「年内に1億台売れる」との大胆なレポートも登場しました。
iPhone以外が注目されている
それでは、Appleの株価を押し上げているのは何でしょうか。
Evercore ISIのアナリストであるアミット・ダリャナニ氏はレポートで、Apple WatchやAirPodsといったアクセサリの売上が無視できないと指摘しています。同氏によると、2023年(会計年度)までにAppleのウェアラブル、ホーム、アクセサリ事業は600億ドル(約6兆4,800億円)超の売上を生み出す可能性があるそうです。
2019年第3四半期(7月〜10月)の決算で、Appleのウェアラブル、ホーム、アクセサリ事業の売上高は65億2,000万ドル(約5,967億円)でした。ダリャナニ氏は、2018年(会計年度)のウェアラブル、ホーム、アクセサリ事業で、Apple Watchが売上全体の52%、AirPodsが26%を占めたと指摘、将来的にはAirPodsがさらにシェアを伸ばすと見ています。
つまり、iPhoneオーナーがApple WatchやAirPodsを購入するため「iPhoneの売り上げが横ばいのままでも成長を遂げる」というわけです。
新サービスApple TV+への期待も
ダリャナニ氏は触れていませんが、11月1日からサービス開始したApple TV+から得られる収益も無視できないでしょう。
JP Morganは、2025年までにApple TV+がサブスクリプション(月額課金)と広告収益の組み合わせで、年間250億ドル(約2兆2,140億円)の収益を生み出すことになると予想しています。
こうした背景を踏まえれば、Appleの株価が史上最高値を更新し続けるのも、決して根拠を欠いたバブルではないのです。