あのシャオミがついに日本市場に参入を行います。これまで数々のスマートフォンを世界各国に展開してきたシャオミ、果たして日本にはどんな製品を投入してくれるのでしょうか。シャオミのSenior Public Relations Manager(海外PR担当)のバージニア・シュー氏に話を伺いました。
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■9年で急成長、世界シェア4位に上り詰めたシャオミ
シャオミ(小米科技/Xiaomi)は今でこそ世界シェア4位のスマートフォンの大手メーカーとして認知されています。しかし創業時はスマートフォンは手掛けておらず、Android OSをより使いやすく改変した「MIUI」を開発するソフトウェア企業でした。2010年の創業メンバーはレイ・ジュン(雷軍)会長兼CEOを中心とした7名です。
そして創業から1年後に最初のスマートフォン「Mi 1」を発表し、スマートフォン市場に参入しました。
その後シャオミは、フラッグシップモデルを1年に1機種ずつ投入し、事業規模を拡大していきます。今では世界80か国に進出し、そのうち42か国ではスマートフォンのシェアが5位以内に入っているメジャーメーカーにもなっているのです。なお2017年には売り上げが150億ドルを突破しましたが、これはグーグルやフェイスブックといったグローバルの大手IT企業より早いペースでの達成でした。
「インターネット企業」として企業番付入り
2018年には香港の株式市場に上場。2019年にはフォーチュン・グローバル500社に選ばれました。注目すべきはシャオミの企業カテゴリがアルファベット(グーグル親会社)やフェイスブックと同じ「Internet Services and Retailing」に区分されたこと。シャオミはスマートフォンメーカーとしてではなく、IoT機器やサービスを含む総合的なインターネット企業として認められたのです。
それも踏まえ今年になってレイ・ジュンCEOは向こう5年間で「スマートフォン+AIoT」というデュアルエンジン戦略を進めると発表しています。
さてシャオミのハードウェア製品はスマートフォンに加え、TV、ノートPC、ルーターという4つの製品を中心に展開されています。IoT機器はシャオミが投資した関連企業、約270社が手がけ、Mi HomeというIoT管理アプリですべてが繋がりコントロールすることができます。
IoT機器はシャオミブランドだけで2000製品以上を提供。さらにフィリップスのスマートライトなど約2億もの他社製品もMi Homeに対応します。加えて、シャオミのIoTプラットフォームにGoogle アシスタントやAmazon Alexaとの連携機能を持たせることで、グローバル展開を強固なものにしています。
直販中心のビジネスモデルでコスパとデザイン・スペックを両立
このように幅広い事業展開を行っているシャオミですが、やはり気になるのはスマートフォン事業でしょう。IDCの調査では2019年6月末時点でシャオミのスマートフォンは世界シェア4位につけています。数多くの製品展開を行っているシャオミですが、それらの最大の特徴はコスパの高さ。これはレイ・ジュンCEOがハードウェアの利益を5%以下にするという方針を決めたことに加え、オンラインストアや自社店舗を展開することでコスト削減を実現しています。
しかしコスパがいいだけが特徴ではありません。シャオミのスマートフォンはデザインや品質にも注力しているのです。中でも「Mi MIX」シリーズはフルビューディスプレイの搭載などで業界のパイオニア製品となっています。最新モデルの「MI MIX Alpha」は本体をディスプレイでくるみ、世界初の1億画素カメラを搭載、5Gにも対応します。
総務省の分離プラン政策が日本市場参入の決め手に
このようにシャオミのスマートフォンはグローバルで受け入れられており、日本人(特にEngadgetの読者)にとっても気になる存在になっています。
では、なぜ今になって日本市場に参入したのでしょうか? その理由の1つは「シャオミの今の製品が日本で受け入れられるだろうと感じた」とバージニア氏は説明します。日本の消費者は高い品質に加え、デザインに優れた製品も好みます。シャオミのスマートフォンも品質とデザインに注力しており、その価値観は日本市場にマッチしているのです。
そして、日本のスマートフォンの販売方式が大きく変わり、端末の極端な割引といったゆがみが無くなったことで、SIMフリー市場への参入もしやすくなりました。総務省の回線契約と端末割引を分離する施策が、シャオミにとって追い風になっていることは、日本参入の決め手となったといいます。
そして、5Gの開始もシャオミにとって日本市場への興味を高めています。シャオミはすでにヨーロッパで5Gスマートフォン「Mi MIX 3 5G」を販売、イギリスでは「初めての5Gスマートフォン」としてシャオミの端末を選ぶ消費者も多いとのこと。また中国では3つのキャリアに最新の5Gスマホも販売しています。5Gスマートフォン市場でシャオミは存在感を大きく高めており、5Gの開始国への参入は必然とも言えるのでしょう。
2019年2月「MWC 2019」の開催にあわせ、シャオミはいち早く低価格な5Gスマホを投入した
■シャオミが日本に投入するスマホは?
それでは日本にはどんなスマートフォンが展開される予定なのでしょうか。バージニア氏は「日本市場に参入を決めたものの、現時点ではどのような製品がマッチするかをリサーチ中」とコメント。具体的にどのスマートフォンを販売するかはまだ決まっていないと説明しました。SIMフリーなのか、キャリア経由なのかといった販売方法も未定としています。
1億画素カメラを搭載して海外で販売になったばかりの「Mi Note 10」は、日本で発売すれば大きな話題になるでしょう。バージニア氏は「お客様にいい製品やいいサービスを、いいタイミングで出したい」と強調し、世界的に評価を受けた製品が日本に展開されることも十分ありうるとその可能性を匂わせてくれました。
1億画素センサーを含む5つのカメラを搭載する「Mi Note 10 Pro」
■ファーウェイやOPPOは参考にしない
2020年から日本で本格展開が始まる5Gサービス向けの製品についてもバージニア氏は明言を避けましたが、5Gスマートフォンはどの国でもSIMフリーの単体販売ではなくキャリア経由の展開となっていることから、日本においてもキャリアとの密な連携が必要なことは十分認識しているという見解をしめしました。
ところで、日本市場にはすでにファーウェイやOPPOなどの中国メーカーが参入しています。これらの会社の日本での展開をシャオミは参考にしていくのでしょうか?
バージニア氏は「フォーチュン・グローバルで弊社はインターネット企業と認知されたことからわかるように、シャオミはハードウェアだけを売る企業ではなく、他のスマートフォンメーカーの動きを参考にするということは無い。シャオミならではの日本市場の展開方法をリサーチしている」と話し、他社とは違う展開を考えていると説明しました。
ウェアラブルデバイスでは世界シェア1位、TVでも世界4位とスマートフォン以外の製品も世界中の消費者に受け入れられているシャオミ。日本市場へどのようにスマートフォンを投入し、他の製品の展開はどうなるのか?
2019年はあと少しで終わりますが、年内あるいは年明け早々にもあっと驚く製品をひっさげて日本市場への展開を始めてくれることでしょう。大いに期待したいと思います。
Mi MIX Alpha。製品に近いコンセプトモデルとして発表されており、量産が体制が整った時点で発売する予定という
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2019-11-15 04:39:42