ファーウェイは、11月14日に発表会を開催。SIMフリースマホの「nova 5T」をはじめ、多数の周辺機器を一斉に披露しました。周辺機器は、スマートウォッチの「HUAWEI WATCH GT 2」や、スマートバンドの「HUAWEI Band 4」、ノイキャン対応ワイヤレスイヤホンの「HUAWEI FreeBuds 3」(以下、HUAWEIは省略)と、いわゆるウェアラブル製品が一堂に介した格好。こうした製品群は、「1+8+N」戦略に基づき開発されたものだといいます。
その戦略を解説する前に、まずは個々の製品をざっと見ていきましょう。製品数は全部で4つ、WATCH GT 2のサイズ違いをカウントすると5つになりますが、やはり主役を務めていたのはスマホのnova 5Tです。novaという名称からミドルレンジスマホと考えてしまいがちですが、nova 5Tはむしろハイエンドモデルに近い端末。チップセットには、「P30 Pro」や「P30」と同じ「Kirin 980」を採用し、デュアルNPUの処理能力を生かし、動画撮影時に背景だけをモノクロにするような機能も利用できます。
動画撮影時に背景だけをモノクロにできるのは、NPUの処理能力があってこそ
ハイエンドモデルらしく、カメラもクアッドカメラです。メインカメラの画素数は4800万でディテールまで写し出せるほか、センサーサイズも1/2と大きく、暗所にも強くなります。トレンドになりつつある超広角カメラもフォロー。ToFではありませんが、被写界深度測定用のカメラも搭載しています。もう1つ、nova 5Tならではなのが、マクロカメラです。接写用のカメラを別途搭載したことで、約4cmまで、被写体に近づいて撮影できるようになりました。物撮りなどにも重宝しそうで、ズームの倍率を高めたP30 Proとは逆のアプローチというのもおもしろいところです。
マクロ撮影専用のカメラも搭載する
ただし、このカメラのスペックをよくよく見ていくと、P30 ProやP30などの上位モデルと比べ、絶妙にコストダウンが図られていることが分かります。nova 5Tにはライカブランドがつかない上に、メインカメラもセンサーサイズはやや小さめ。技術的に難度の高そうな望遠カメラもありません。カメラ以外でも、指紋センサーが画面内部に組み込まれておらず、側面に搭載されているなど、随所にコストを意識して設計されていることがうかがえます。それもあって、価格は5万4500円と、ハイエンドモデルとしては"激安"。novaシリーズは若年層向けのラインですが、まさにお金のない若者に向けたハイエンドモデルと言えるでしょう。
ハイエンドながら、5万円台半ばとリーズナブルだ
脇を固める周辺機器の中で注目したいのが、ワイヤレスイヤホンのFreeBuds 3です。一見するとデザインは、アップルのAirPods風ですが、開放型を維持したまま、ノイズキャンセリングに対応しているのがこのモデルのすごいところ。AirPods Proがノイズキャンセリング対応のためにカナル型になったのに対し、FreeBudsは開放型のまま、ノイズキャンセリングを搭載したのが大きな違いです。耳栓のように耳がふさがれるカナル型とは異なり、装着しても圧迫感がなく、気軽につけ外しができます。
左がFreeBuds 3、右がAirPods Pro。FreeBuds 3は開放型のまま、ノイズキャンセリングに対応した
開放型のため、すき間からノイズが入ってくるかと思いきや、意外と効きもよく、ガヤガヤとしていた発表会会場がシーンと静まりかえったかのようになりました。ノイズキャンセリングの効き具合は耳の形によって異なるため、端末側のアプリを使って手動で調整する仕組み。開放型ゆえに音漏れは少々気になりますが、この形状でノイズキャンセリングに対応したモデルはほかになく、唯一の選択肢と言えます。話題になったAirPods Proを、指をくわえながらながめるしかなかったAndroidスマホユーザーには、うってつけの選択肢と言えるかもしれません。
ショートカットの設定も多彩
しかもFreeBuds 3は、ホワイトとブラックの2色展開。編集長から禁止されているため、一部伏字にしておきますが、ブラックを選択すれば、〇ど〇感も軽減されそうです。さらに驚いたのがその価格で、同モデルは1万8800円と、税抜ではありますが2万円を切っています。ノイズキャンセリング対応で左右独立型のBluetoothイヤホンは、2万円台半ばから後半ぐらいが相場ですが、それを大きく下回ってきました。特に、比較されがちなAirPods Proを9000円ほど下回ってきたところには、ファーウェイの意地を感じました。
ホワイトとブラックの2色展開
WATCH GT 2は、42mmと46mmの2サイズ展開。それぞれデザインには3つずつのバリエーションがあり、計6種類が用意されています。最大の特徴は、約2週間持つというバッテリー駆動時間。詳細は本誌のレビュー記事に譲りますが、旅行や出張の際に、充電せず使い続けられるのはうれしいポイントと言えるでしょう。しかも充電には、USB Type-Cのケーブルが使えるため、いざというときはスマホ用のものを拝借すればOKというわけです。常時つけていられるため、睡眠を測定する機能も搭載されています。
もちろん、一般的にスマートウォッチに必要とされる機能は網羅しています。通知を受けたり、アクティビティを測定したりといったことはすべてでき、コンパスまで搭載します。46mmモデルはスピーカーを搭載しており、音楽再生も可能とのこと。スマートウォッチとしては賛否ありそうですが、Apple Watchとは異なり、円形のディスプレイを採用しているため、パッと見のデザインははアナログの腕時計のようです。42mmが2万2800円から、46mmが2万4800円からと、こちらもお値段はリーズナブル。スマートウォッチ初心者にも手に取りやすい価格設定と言えそうです。