「5G」に「8K映像」、そして「ドローン」という"未来のテクノロジーてんこ盛り"な技術検証が北海道の牧場で行われました。
今回の実験は、新技術を駆使して競争馬の育成を支援する新たなサービスができないか模索するもの。具体的には、牧場から馬を撮した8K映像を送り、離れた場所にあるモニターにリアルタイムで表示するという内容です。
5Gは高速な通信ができる無線技術ですが、特に上り通信(端末 基地局)は4G LTEから格段に高速化されているため、高解像度な映像を送るのに適した技術と言えます。
■世界初、8K映像をドローンでリアルタイム伝送
実験の中で行われた「5Gによるドローンからの8K映像のリアルタイム伝送」は、KDDIによれば世界初の取り組みとのこと。シャープが製品化に向けて開発中としているシャープが開発中としているマイクロフォーサーズマウントの8Kミラーレスカメラを活用し、高解像度な映像を送信します。ドローンにはカメラに加え、au 5Gに対応するタブレット(サムスン製)を載せて、数m離れた5G基地局のアンテナまで映像を飛ばしています。
■厩舎内の様子を8Kで観察
厩舎内の馬の様子をリアルタイムでモニターする実験も行われています。厩舎の入り口部分に設置された8Kカメラで馬を撮影し、映像をモニターに表示します。毛並みや肉付きがはっきり分かる映像をリアルタイムで送り、 遠隔地にいる調教師が飼育の参考にするイメージです。
また、今回の実験で使われた8Kカメラは、シャープ約20年ぶりに手がけるデジタルカメラです。このカメラをシャープは2020年に発売すると予告していますが、今回使われたのはあくまでの試作機という位置づけ。さらに今回は、撮った映像をリアルタイムで5G端末に送れるよう、特別なカスタマイズを施しています。
さらに5Gで大容量の映像が一般的に使われるようになってくると、インターネットにつなぐ光回線の部分にも増強が必要となります。新冠町では今年から2020年度にかけて、光ファイバー回線の整備事業の行っています。
そして当然ですが、受信する側にも8K映像を表示できるモニターと、それを処理できる通信回線を用意する必要があります。同じ牧場内ならともかく、北海道で送られてくる8K映像を都心で観るには、まだまだハードルが高いと言えます。
もっとも、高額な競争馬を買って飼育できる馬主向けのサービスですから、8K映像を視聴できる環境を揃えるのは難しくないかもしれません。現時点の5G技術、8K処理技術、固定通信インフラでは実現するのが難しい内容ですが、数年後に時期が来れば、当たり前のように利用されるサービスになる可能性も秘めています。