YouTubeが利用規約を更新することが明らかになりました。新しい利用規約では、YouTubeが独自の裁量で採算に合わないと判断したユーザーに対してサービスへのアクセスを解除できる、つまりはチャンネルを削除あるいはアカウントごと削除できるようになるということで、多くのユーザーからYouTube上での将来に対する不安の声が挙がっています。
YouTubeは2019年12月10日付けで有効になる新しい利用規約を発表しました。記事作成時点ではまだ有効になっていない新しい利用規約の全文は、以下からチェック可能です。
新しい規約で注目されているのは、「アカウントの停止と解除」という項目の中にある「本サービスの変更に基づくYouTubeによる解除」という部分。利用規約には以下のように書かれており、YouTubeに「採算に合わない」と判断された場合、YouTube側の裁量でYouTubeチャンネルが削除されてしまう可能性があります。なお、記事作成時点で利用されている利用規約には「本サービスの変更に基づくYouTubeによる解除」という項目は存在しません。
YouTubeが独自の裁量により、お客様への本サービスの提供がもはや採算に合わない事業となったと判断するに至った場合、YouTubeはお客様またはお客様のGoogleアカウントによる、本サービスの全部もしくは一部へのアクセスを解除できるものとします。
利用規約が更新されたことを発見したTwitterユーザーのKizzumeさんが、「YouTubeがプラットフォーム上のクリエイターの将来をひどいものにする可能性を提示しています。『採算が合わない』場合、YouTubeはあなたのチャンネルを削除することができます」とYouTubeユーザーに向けてツイートしたところ、このツイートは3000件以上リツイートされ、6500件以上いいねされることとなっています。
レスラーYouTuberのChristian Maracleさんは、「YouTubeが12月10日付けで新しい利用規約を適用します。これは恐らく、基本的にYouTubeチャンネルが十分なお金を稼げていない場合、それを終了するというものです!!私は最後までよく戦ったと思いますが、今は生計や情熱、聴衆といった自分に大切なものを失いかけていると感じています……」と悲痛な叫びを投稿しています。
「2020年(新しい利用規約適用)以前:やった!広告収入で10ドル(約1100円)ゲットだぜ。2020年以降:採算に合わないため、あなたのGoogleアカウントは停止され、あなたのGmailは削除されました。また、児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)の下でバイオハザード8のプレイムービーをアップロードしたため、4万2000ドル(約460万円)の罰金が科されています」と、規制によりYouTubeが使いづらいものに変わっていくことをネタにするユーザーもいます。
利用規約の更新に向けてYouTubeはさっそくユーザー向けにメールを送信し始めています。メールの中で、YouTubeは利用規約更新の理由を「用語をより明確に理解できるようにするため」と要約して説明しているとのこと。しかし、多くのユーザーから問題視されている、新しく追加された「本サービスの変更に基づくYouTubeによる解除」という項目については一切言及していないそうです。
「本サービスの変更に基づくYouTubeによる解除」という項目について、海外メディアのMashableは「例えば十分な広告収入をもたらしていない動画をアップロードあるいはライブストリーミングで配信した場合に、YouTubeにクリエイターのアカウントを削除する権限を与えるものです」と説明。また、「本サービスの変更に基づくYouTubeによる解除」の項目ではYouTubeに動画を投稿するクリエイター側についてのみ言及されているわけではないため、視聴者側にも影響を与える可能性が指摘されています。
ただし、利用規約の変更により、ヘイトスピーチやその他の暴力的な内容を投稿し続けるチャンネルを、YouTubeが「採算に合わない」という理由から一方的に削除できるようになるという可能性も指摘されています。
加えて、「企業ユーザーのGoogleアカウントも停止される可能性があることにも注意が必要です」とMashableは指摘。Googleアカウントが停止されてしまえばGmailやGoogleフォト、Googleドキュメントなどあらゆるサービスへのアクセスが不可能になってしまうと警告しています。
海外掲示板のReddit上でもYouTubeの新しい利用規約についての議論が白熱しており、新しく追加された「本サービスの変更に基づくYouTubeによる解除」という項目について、「非常に曖昧かつ包括的な用語であり、YouTubeの広告を生成しないようなコンテンツを作成するユーザーや、広告ブロック機能を使用するユーザーにまで広範に適用できる」という意見もあります。
TwitterユーザーのLiz Ryersonさんは「もしも10万人のチャンネル登録者を抱えている場合、ロサンゼルスにあるYouTubeのスタジオを使用することができます。今回の利用規約更新は、プラットフォーム上で成功している人にとっては全く関係のない話です。そして、YouTube上で成功している人の多くは保守的なゴミを投稿することで、現在の地位を獲得しています」とツイートし、既存の人気チャンネルが動画の中で利用規約の更新について指摘することはないだろうと語っています。