OpenAIと、米メディアのハフポスト創設者であるアリアナ・ハフィントンが立ち上げたスタートアップ企業、スライブ・グローバルは今月初め、画期的な提携を結び、スライブAIヘルスと呼ばれる新事業の立ち上げを発表した。OpenAIのCEOであるサム・アルトマンとハフィントンは、タイム誌に共同執筆した発表記事の中で、高度にパーソナライズされたAIが、ユーザーの日々の行動を改善し、最終的に健康状態を向上させる上で役立つと説明している。
「スライブAIヘルスの目標は、OpenAIスタートアップファンドとスライブ・グローバルが共同出資する新会社で、カスタマイズされ、高度にパーソナライズされたAIによる健康指導サービスを構築することです」と彼らは書いている。
デジタルな健康指導サービスの人気が高まっているが、この新事業では、ユーザーの日常的な行動パターンを学習することで、より健康的なライフスタイルを提案することを目指している。たとえば、AIが「午後3時15分に子供を迎えに行った後、10分間の散歩をしましょう」とか「翌朝6時にフライトがあるので、夜10時にはリラックスできるような行動を始めましょう」といった、ユーザーの日常生活に沿った提案ができるだろうと彼らは説明している。
この高度なパーソナライズこそが、最終的にユーザーを引き付け、実際に効果をもたらすのだ。一般的なAIによる健康指導サービスにも健康データを基にした一般的な推奨を行うものはあるものの、実際にユーザーの日常的なスケジュールにシームレスに組み込まれるものは少なく、これが日々の健康タスクを実行する上での課題となっている。AIを活用したツールやデジタルヘルスプラットフォームのエコシステムが成長する中で、ユーザーはこれらのサービスが互いに孤立していると感じることが多い。つまり、健康結果を真に改善できる多くのサービスやプラットフォームが増えているにもかかわらず、これらが互いに連携していないため、ユーザーは健康づくりに断片的に取り組むことを余儀なくされている。
今回手を組む2つの会社は、それぞれが業界のリーダーとして君臨しているため、スライブAIヘルスにはデータ、学習、プラットフォームなどに関する比較的成熟した資産がすでにある。OpenAIはその革新的な取り組みにより、データから得られる洞察に基づいたシステムを作り出すうえで支配的な力をもつ。同様に、スライブ・グローバルのプラットフォームは、洞察に基づくコーチングとユーザーの実績によって、既に素晴らしい成功を収めている。
しかし、親会社の成功にもかかわらず、この新しいベンチャー企業は、いかにシームレスになれるかを証明するために、やるべきことが山積みだ。それが証明できなければ、単なる別アプリケーションの一つとなり、ミッションの本質からそれてしまうことになる。
これに関してハフィントンは、スライブ・グローバルの行動変革の方法論がスライブAIヘルスに深く統合され、織り込まれると説明している。新しいプラットフォームは、最新の科学的知見に加え、スライブがもつ広範なコンテンツである、『Microsteps ― 小さな日々の行動が集まって健康的な習慣につながる』や『Resets ― プラットフォームのストレス軽減方法論』などに基づいたAIの学習も行われる予定だという。
高度なパーソナライズは、この新サービスを他のサービスとはまったく違ったものにするだろう。ハフィントンは「高度な長期記憶を持つスライブAIヘルスは、累積されたユーザーの行動記録や好みを記憶して活用し、スライブがすでに持つコンテンツをリアルタイムで提供することができます。スライブのプラットフォームが成長し続けるにつれて、スライブAIヘルスの機能も成長していきます」と強調している。これにより、最終的に各ユーザーのニーズに沿ったサービスの提供が可能になる。
確かに、この取り組みはまだ始まったばかりだが、この事業は比較的初期段階にある分野で先駆的な一歩を踏み出している。