数十億人のGoogle Chrome(以下、Chrome)ユーザーが突然、わくわくするようなアップデートが行われた。ただし、そこにはちょっとした使用に関する注意点がある。だから使う前にグーグルの注意喚起に目を向けてほしい。
AIは新しくて刺激的なものであり、グーグル、マイクロソフト、サムスンそしてまもなくアップルから次々と発表が続く今、私たちは興奮でついつい我を忘れてしまいがちだ。しかし、あらゆるAIプラットフォームとAIサービスには注意すべきことがある。
今回グーグルはChromeの新しいアップデートで、同社の生成AIであるGeminiのプロンプトを直接アドレスバーに入力できるようにした。これ以上簡単な方法はあるだろうか?
ただしここで注意が必要だ。従来のアルゴリズム検索におけるクエリは、プライベートなものではないものの、他の無数のクエリの中に埋もれていた。しかし、それとは異なり、Chromeで入力したGeminiのプロンプトは、生身の人間に読まれる可能性がある。
「会話には機密情報を入力しないでください。また、レビュアーに見られたくないデータやGoogleのプロダクト、サービス、機械学習技術の向上に使用されたくないデータも入力しないでください」とグーグルは注意喚起をしている。
グーグルは「自動化されたツールにより、ユーザーを特定できる情報(メールアドレス、電話番号など)を削除しています」とし、入力されたプロンプトはアカウントとは切り離された形で保存されていると説明している。
つまりは、調子に乗るなということだ。健康、金銭、性的なクエリや、生身の人間であるレビュアーに読まれてうれしくないことを入力するのには注意が必要だ。そしてもちろんこれはグーグルだけの問題ではない。こうしたプライバシーにおけるリスクは、マイクロソフト、OpenAI、その他すべてのクラウド中心のAIプラットフォームにあてはまる。
近年プライバシーは、付加的要素から競争上の差別化要因へと変わってきた。ウェブやモバイルデバイスでのトラッキング(追跡)や、位置情報、個人を特定する情報などの処理に関する透明性、さらにはコンテンツの暗号化についても大きな進歩がみられる。しかし、新しいAIが登場して興奮する私たちは、プライバシーに対する懸念を軽視してしまいがちだ。
もちろん、プラットフォームやサービスが定めたクモの巣のようなプライバシーポリシーを理解するのは困難だ。グーグルだけでも、異なるAIサービス、プラットフォーム、商業モデルごとに異なるポリシーを持っている。何よりも必要なのはシンプルさと透明性だ。アップルの場合を見てみよう。
もしアップルのiPhoneとiPadに新しく搭載されるAIが、予想どおりデバイス上で動作するものであるなら、プロンプトはクラウドに送られることも、保存やレビューされることもないため、私たちが待ち望んだ変化がもたらされることが期待される。もちろんこれは本質的に情報のシェアが必要なウェブ検索には影響しない。しかし、ユーザーの理解を向上させることにはなるだろう。
この記事で述べた注意点は、何も隠されたものではなく、グーグルはそうした注意喚起をオープンに行っている。今やそれはユーザーの問題であり、一連の魅力的な新サービスに飛び込もうとしている何百万の人たちは、プライバシーに関する認識を早急に高める必要がある。AIサービスが急速に拡大するにつれ、情報の流出、漏洩は必然的に起きるだろう。だから私たちは、これまで以上に自分がシェアするものに関して注意深くなる必要があるのだ。