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アップル、iPhone 16から全面的に「生成AI」導入で戦略転換

アップルはこれまで、iPhoneの標準モデルとProモデルを切り分けることで、標準モデルの価値を下げずに、Proモデルの価格の高さを正当化しようと努力してきた。しかし、今年の秋にこの2つのモデルの関係に根本的な変化が訪れるかもしれない。その変化は、人工知能(AI)の導入がもたらすものだ。

グーグルは、昨年秋に発売したGoogle Pixel 8とGoogle Pixel 8 Proを手にスマートフォンのAI競争の幕開けを告げた。同社は、Pixelが世界初の「AIファースト」な端末として注目されることを望んだが、結局はサムスンのGalaxy S24シリーズに搭載されたGalaxy AIに注目を奪われてしまった。また、他のメーカーやサプライヤーもAIへの注力を開始している。

Android端末でAIブームが起きるなか、アップルはAIという宣伝文句をつけずに発表したiPhone 15を発売し、そのことから同社がAI革命に乗り遅れたと市場から見られるようになった。iPhone 15ももちろん、音声アシスタントのSiri、画像処理プロセス、オートコレクトなどにAIを用いているのだが、それらはさほど目立つものではない。

そして今、アップルは今秋に発売予定のiPhone 16シリーズに、ローカルとクラウドの両方で、さまざまな生成AIシステムを搭載しようとしており、その詳細を6月のWWDC(アップルの開発者向けイベント)で発表する見通しだ。

生成AIをローカルで駆動させるためには、卓越した性能のチップが必要だ。クアルコムやメディアテック、サムスンの最新のアンドロイド向けチップセットは、いずれも生成AI専用のハードウェアを搭載しており、速度と必要なエネルギーの両面でプロセスの効率を高めている。注目すべきは、1世代前の2023年のチップセットでさえ、端末上でAIを実行する能力が制限されており、クラウドを利用する以外の選択肢が存在しないことだ。


アップルはここ数年、iPhoneの標準モデルとProモデルに異なるチップを搭載しており、昨年のiPhone 15にはA16 Bionicを、iPhone 15 ProにはA17 Proを用いていた。アップルが端末にAIを搭載しようとする場合、プライバシーを重視する同社は、可能な限り多くの処理をオンデバイスで行うはずだ。そして、オンデバイスで駆動するスムーズなAIを望むなら、そのための強力なハードウェアが必要になる。

アップルは、2024年に発売するiPhoneに新型チップを搭載すると噂されており、そのチップが生成AIの処理に必要な性能を提供することはほぼ確実だ。

ここで気になるのは、今年の標準モデルと上位モデルの違いがどのようなものになるかだが、筆者としては、アップルが新モデルの生成AI機能をProとPro Max限定にするとは思えない。アップルのAIは、すべての新端末で全面的に利用可能になる必要があるだろう。もしそうだとすれば、iPhone 16の性能は、昨年の今頃に多くの人が想像したよりも大幅に上回る性能になるだろう。

iPhone16は大幅なパワーアップを果たすことになるが、それはすべてAIのおかげだ。



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