アップルがアプリ開発者に課しているアプリ内課金の手数料をめぐる訴訟で、米最高裁判所が同社の上告を退けたことを受け、アップルは16日、外部決済プラットフォームを利用したアプリ内課金に対しても27%の手数料を課すことを決めた。訴訟を起こした米ゲーム開発会社Epic Games(エピックゲームズ)のティム・スウィーニー最高経営責任者(CEO)をはじめ、アプリ開発者からは反発の声が相次いでいる。 アップルは、自社の上告が最高裁により却下された直後、App Storeのポリシーを更新。2021年に下級審が下した判決に従い、アプリ内課金での外部決済方法の使用を許可した。(編集注:対象となるのは米国で配信されるアプリ) 開発者側は今後、アップル独自の決済サービスとは別の決済方法を案内できるようになる。だがアップルは、外部サービスを利用した支払いに対しても、全決済の27%(小規模開発者に対しては12%)を徴収する。同社は自社サービスを利用した決済に対し、30%(小規模開発者は15%)の手数料を課してきた。 開発者が外部決済機能を有効にするためには「資格」を申請する必要がある。また、別の選択肢としてアップルの決済サービスを利用可能にすることも義務付けられる。 エピックのスウィーニーCEOは、アップルによるポリシー変更は裁判所命令の「不誠実な『コンプライアンス』」だと批判。27%の手数料は「反競争的な新税」であり、エピックはこの問題を法廷で争うと表明した。 スウィーニーは、アップルが今もアプリ上での外部決済リンク表示方法を厳しく制限しており、外部決済は「ユーザーが実際に購入する場所とは離れた、アプリ内の別部分に分けなければならない」と説明。さらに、外部決済を選択したユーザーに対してアップルが「脅しの画面」を表示していると主張した。 外部決済を選択したユーザーには、次のようなメッセージが表示される。「アプリを終了し、外部のウェブサイトに移動します。アップルは、ウェブ上で行われた購入のプライバシーやセキュリティについて責任を負いません」 エピックやSpotify、Masimoなどが参加するアプリ開発者団体「アプリ公平性のための連合(Coalition for App Fairness)」は、アップルの新ポリシーを批判。同団体のリック・バンミーター事務局長は「これらの変更は、消費者の選択肢を増やすものでも、アプリ内課金の価格を下げるものでも、アップルの『壁に囲まれた庭』に競争をもたらすものでもない。このような濫用的・独占的行為こそが、議会が『開かれたアプリ市場法』を可決しなければならない理由だ」と主張した。 一方、著名なアップル関連ブログ「Daring Fireball」を運営するジョン・グルーバーは、同社が課している30%の料金は決済処理の手数料ではなく、自社の知的財産であるiOSのエコシステムを利用する使用料と位置づけられていると指摘。新ポリシーの下での外部決済は「実際の決済処理」の手数料である3%を差し引いた上で、プラットフォーム使用料である27%を開発者に負担させ続けるものだと説明した。