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最近よく聞く「汎用人工知能=AGI」とは?様々な分野で求められている理由と開発企業

近年、急速に認知度を高めつつある『汎用人工知能(AGI)』とはいったいどのようなものなのでしょうか。その詳細や求められる理由など、汎用人工知能についての一般的な知識をまとめて整理していきましょう。実際に開発を行っている企業事例も紹介します。

汎用人工知能とは

汎用人工知能とは、具体的にどのようなものを指す言葉なのでしょうか。まずは、その詳細から確認していきましょう。

より人間的な思考回路と感性を持つAI

汎用人工知能(Artificial General Intelligence、AGI)は、人工知能(AI)の一つで、高い知能を持ち、取り入れたデータを基に自ら学習・応用ができる特性を持っています。この特性により、新たな環境に適応したり、突発的なトラブルに対応したりすることが可能です。

私たち人間がそうであるように、汎用人工知能は学習を重ねながら独自に進化し、さまざまな状況にも柔軟に対応します。従来のAIにはない優れた自律性や汎用性から、より人間的な思考回路と感性を持つ人工知能として、今後の研究が期待されている技術です。

汎用人工知能の実現がもたらす未来

汎用人工知能が実現すると、社会はあらゆる側面から大きく変わると考えられています。

例えばビジネスシーンでは、クライアントごとの目的や個性に合わせたオリジナルの提案をより多角的に行えます。蓄積した知識を自己学習し発展させることで、革命的な技術革新や発明・価値創造も可能となるかもしれません。

クリエーティブ分野についても同様で、汎用人工知能が優れた絵画や文学などを生み出す可能性も考えられます。汎用人工知能の実現は、これまで想像し得なかった未来をもたらすものといえそうです。

特化型人工知能との違い

今後の開発が期待されている汎用人工知能(AGI)と、従来の人工知能(AI)との主な違いは、用途の柔軟性にあります。

汎用人工知能が、自ら学習・応用することで幅広い分野をカバーするのに対し、『特化型人工知能』がカバーするのは特定の分野のみです。

医療・製造・ITなど、特化型人工知能の活躍の場は多数ありますが、それぞれの分野で活躍するのはその分野向けに設計した人工知能で、複数の分野をカバーすることはできません。

複数のタスクをこなせるのが汎用人工知能、特定のタスクを専門的にこなせるのが特化型人工知能です。

汎用人工知能の構成要素

汎用人工知能は、『機械学習』『認知アーキテクチャ』『認知ロボティクス』の三つの構成要素から成り立っています。それぞれの詳細をチェックしていきましょう。

機械学習

機械学習とは、与えられたデータを基に、機械が自ら最善の結果を模索して答えを導き出す、データ分析の手法の一つです。その手法は主に『教師あり学習』『教師なし学習』『強化学習』に分かれています。

『教師あり学習』は、入力データとその答えとなる出力データとをセットで与えて学習させ、正解となる答えを推測させる手法です。

『教師なし学習』は、入力データのみを与え、答えとなる出力データを与えずに、データのパターンや本質的な構造を学習させる手法です。

また、『強化学習』は、機械自身で試行錯誤をしながら状況に応じた最適な行動を学習させる手法をいいます。

認知アーキテクチャと認知ロボティクス

『認知アーキテクチャ』は、人間が持つ認知機能を研究し、モデル化するための設計図をいいます。人間独自の認知機能や思考回路・思考のパターンなどを学習することで、より人間に近い意志決定や行動を導くことが可能となります。

『認知ロボティクス』とは、人間と同じ認知や学習・意思決定・課題解決などを行う能力をロボットに与える研究のことです。与えられた環境の中で、試行錯誤しながら経験を重ねて学習し能力を高めていく過程は、人間や動物の赤ちゃんの成長過程と同様です。

強いAI・弱いAIとは?

汎用人工知能について理解を深めていく中で、『強いAI』『弱いAI』との言葉に出会い、「何のことだろう」と戸惑った経験はありませんか?『強いAI』『弱いAI』それぞれの詳細を解説します。

強いAI

『強いAI』とは、人間と同レベルか、もしくはそれ以上の知能を持つAIのことです。

強いAIは、自己学習によって人間の感情のような抽象的な概念を理解します。人間のような状況判断を独自に行うことができるため、頻繁な指示を必要としません。自ら状況を分析し、こなすべきタスクを細分化することにより、複数のタスクを同時にこなすことも可能です。

強いAIの具体例としては、SF映画などで見られるアンドロイドや、アニメに登場するロボットのキャラクターなどが挙げられます。

弱いAI

強いAIが汎用的な能力を持つAIを指すのに対し、『弱いAI』とは、特定の分野において人間と同等、もしくはそれ以上の能力を発揮するAIをいいます。

弱いAIは、活用できる分野が限られている分、専門的で高い能力を発揮します。半面、臨機応変な対応は不向きなため、強いAIのような状況判断による問題解決はできません。

専門分野から外れたタスクや、突発的なトラブルへの対応は基本的にできません。柔軟な対応力という点において、強いAIに劣るのが実情です。

弱いAIの具体例としては、現在活用されている一般的なAIが挙げられます。

汎用人工知能が求められる理由

近年、汎用人工知能が注目を浴び、広く求められるのはいったいなぜなのでしょうか。その理由を整理していきましょう。

汎用性の高さと労働力不足の解決に期待

汎用人工知能が広く求められる理由は、大きく『汎用性の高さ』と『労働力不足の解消』の二つに分かれます。

前述の通り、汎用人工知能は、従来の人工知能と比較して汎用性に優れているのが特徴です。機械が自ら学習し、状況判断をしながら応用していくことで、より人間に近い思考や意思決定が可能となります。

汎用人工知能を活用することで、対応できる物事の可能性も広がり、ビジネスはもちろんのこと、社会問題の解決といった大掛かりな成果も期待できるかもしれません。

また、機械が人間に近い活躍をすることにより、近年大きな課題となっている労働力不足の解消にもつながります。人間が請け負っていた仕事を機械に任せることで、従業員一人一人の負担も減少し、労働環境の改善にも役立つでしょう。

汎用人工知能の開発を行う企業事例

実際に汎用人工知能を開発しているのは、いったいどのような企業なのでしょうか。実際の事例を紹介します。

OpenAI

『OpenAI』は、世界的な知名度を持ち、多くのユーザーを生んでいる会話型AI『ChatGPT』の開発企業です。

ChatGPTでは、テキストでプロンプトを入力することにより、まるで人間とやりとりをしているかのような自然な言葉で回答を得られます。プランによっては、テキストだけでなく画像の生成や認識も可能です。

なおOpenAIでCEOを務めるサム・アルトマン氏は、汎用人工知能の開発について、人類史上最重要事項とする一方で「希望に満ちてはいるものの恐ろしいプロジェクト」とも語っています。

Google DeepMind

『Google DeepMind』は、AI分野の研究や開発を目指すGoogle社が、2014年に買収した『DeepMind』と『Google Research』のBrainチームとを統合する形で2023年4月に設立されました。

設立から間もない2023年12月には、長年未解決だった数学的問題を解決したり、社会の発展に寄与するアルゴリズムを発見したりすることが可能な新システム『FunSearch』を発表しました。今後の研究成果が期待されている企業です。



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