PC周辺業界では、よく似通った社名や製品名が話題になることがしばしばあります。実際に名前の変更に至ったケースや、利用の許諾を得たケースも存在するわけですが、ユーザの側から見ると、それでもなお紛らわしい場合も少なくありません。
また、かつて使われていた社名やブランドが、ひっそりと消滅しているようなケースもよくあります。今回はこうした事例のうち、ネットで繰り返し話題になるものから、知って驚くものまで、いくつかのパターンを集めてみました。
2つの「ロジテック」
社名について、似ていて紛らわしいとしてネットでたびたび話題になるのが、マウスやキーボードを中心に国内でも知名度の高いメーカー「ロジクール」と、エレコム傘下の周辺機器メーカー「ロジテック」でしょう。
なぜ紛らわしいかというと、ロジクールのスイス本社の社名はロジテック(Logitech)で、海外ではこちらの名前で事業を展開しており、新製品のニュースなどでは、こちらの社名で報じられることも少なくないから。日本のロジテックは「Logitec」と綴りが違うのですが、ユーザからすると混乱するのも当然です。
これについては、かつてロジテック(スイス)が日本に進出した時、すでに日本国内ではロジテック(当時はエレコム傘下ではなかった)が存在しており、同じブランド名が使えなかったため、日本向けに「ロジクール」というブランドを立ち上げたという経緯があります。
そのため当時、日本国内で販売されるロジテック(スイス)の製品は、パッケージはもちろん製品本体のロゴマークまでも、わざわざロジテックをロジクール(Logicool)にカスタマイズした上で販売されていました。その後ロゴマークが社名の先頭部分「Logi」をモチーフにした形状に改められたことで、これらの問題はひとまず解消されものの、苦労が忍ばれるエピソードではあります。
現在の同社は「Logi」というロゴを用いている。これならば社名を問わずどちらでも使える。おそらくそうした意図もあっての変更と考えられる
本件、古くからのパソコンユーザーや業界に詳しい人には当然と思われているかもしれませんが、定期的に「はじめて知った!」と話題になります。
ちなみにロジクールというブランド名が確定するより前、90年代前半には、ロジテック(Logitech)の並行輸入品が日本で販売されるケースもあったため、同じ売場で日本のロジテック(Logitec)とスイスのロジテック(Logitech)の製品が並んでいることもありました。紛らわしくて困っていたのはユーザではなく、むしろ販売店だったのかもしれません。
そう考えると、「ツイート」などの用語がほぼ一般名詞として認知されていたにも関わらず、それをあっさり捨てて「X」へと名称を変更したTwitterのパターンは、異例中の異例であることが分かります。今後、同社がほのめかすXのスーパーアプリ化が実現したとしても、依然としてマイナスのほうが大きいと感じるのは、筆者だけではないでしょう。