Netflixがアメリカやイギリスで、新規または再登録を行うユーザーに対してこれまで提供していた広告なしの「ベーシック」プランを廃止していることが明らかになりました。これによってNetflixに新規加入するユーザーが選択できる最安値のプランは「広告つきスタンダード」になりました。
Netflixはこれまで「プレミアム」「スタンダード」「ベーシック」「広告付きスタンダード」の4つの料金プランを提供してきましたが、2023年7月以降アメリカやイギリスで新規加入もしくは再加入するユーザーは「ベーシック」を選択できないことを発表しました。
アメリカにおける、2023年7月からのNetflixのプランをまとめた表が以下。「ベーシック」の廃止によりアメリカやイギリスでは今後新規加入または再登録を行う場合、「広告付きスタンダード」「スタンダード」「プレミアム」の中から選択する必要があります。
ベーシック:月額9.99ドル(約1390円)広告付きスタンダード:月額6.99ドル(約970円)スタンダード:月額15.49ドル(約2150円)プレミアム:月額19.99ドル(約2700円)同時に1台の対応デバイスで視聴可能同時に2台の対応デバイスで視聴可能同時に2台の対応デバイスで視聴可能同時に4台の対応デバイスで視聴可能映画やドラマが完全見放題、モバイルゲームも無制限一部の映画やドラマに視聴制限あり、モバイルゲームは無制限映画やドラマが完全見放題、モバイルゲームも無制限映画やドラマが完全見放題、モバイルゲームも無制限HD画質で視聴可能フルHD画質で視聴可能フルHD画質で視聴可能UHD 4K画質で視聴可能映画やドラマが広告なし広告あり映画やドラマが広告なし映画やドラマが広告なし同時に1台の対応デバイスにダウンロード可能ダウンロード非対応同時に2台の対応デバイスにダウンロード可能同時に4台の対応デバイスにダウンロード可能
Netflixによると、現在「ベーシック」に加入しているユーザーは、プランを変更するか解約するまで継続して「ベーシック」を利用できるとのこと。
Netflixのジョージ・ピーターズCEOは、2023年初頭に新規加入したユーザーの25%以上が「広告付きスタンダード」を選択したことを明らかにしました。しかし、「ベーシック」の廃止についてはユーザーから不満の声も上がっており、今後広告なしでNetflixを視聴するためには「広告付きスタンダード」の2倍以上の料金を支払わなければならないという指摘もあります。
また、Netflixでは2023年第2四半期においてユーザー数を順調に増やしており、2023年4月から6月にかけてアメリカとカナダで約117万人、世界中で約590万人の新規ユーザーを獲得しました。6月末時点でのユーザー数は2億3800万人に達し、前四半期から8%増加したことが報告されています。
これまでパスワードの共有によるアカウントのタダ乗りに悩まされてきたNetflixは、アメリカやカナダ、ニュージーランドなどの一部の国で月額7.99ドル(約1100円)の「アカウント共有サービス」を2023年5月下旬から開始しています。
Netflixは、「アカウント共有サービスへの登録数はすでに解約者数を上回っており、サービスを開始した各地域で収益が向上しています」と述べ、アカウント共有サービス開始には一定の効果があったことを明らかにしています。
一方でNetflixでは売上高が伸び悩んでいることも伝えられています。Netflixの2023年第2四半期における売上高は前年同期比2.7%増の約81億9000万ドル(約1兆1400億円)にとどまり、ユーザー数が増えた分、ユーザー1人当たりの売上高が減少しました。Netflixは「『広告付きスタンダード』からの広告収入やアカウント共有サービスなどへの新たな投資による収入が、為替レートの影響などほかの要因を相殺するほど十分ではありませんでした」と述べ、「Netflixの今年はユーザー数の増加など、着実に前進していますが、成長を再加速させるためにできることはまだまだあります」と報告しています。
2023-07-19 21:03:15