昨年11月に米AI研究所のOpenAIがAIチャットボット(自動会話プログラム)の一種「ChatGPT」を発表して以来、そのあまりの高性能ぶりが世界を驚かせてブームにもなった。そしてOpenAIは3月14日にこのChatGPTの進化版の「GPT4」を公開し、ChatGPTの有料版の「Plus」も順番待ちだが希望すれば使えるようになった。
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この最先端の自然言語処理技術であるChatGPTを利用してサービスを開始したのが米マイクロソフト社だ。
「マイクロソフトは19年にOpanAIに出資していましたが、21年と、ChatGPT出現以後の22年1月にも合わせて1.3兆円の出資をしています。そして2月には、自社が提供する検索エンジンのBingとブラウザのEdgeで、ChatGPTを統合したサービスをスタートしたのです。これを見た世界中のテック企業が、波に遅れるわけにはいかないとばかりに自然言語処理技術を組み込んだサービスに乗り出しました」(経済ジャーナリスト)
グーグルはマイクロソフトとほぼ同時にAIチャットボットの「Bard」を投入したが、精度が悪く評判は芳しいものではなかった。中国でも、アリババやテンセントといった企業が相次いで開発チームを立ち上げている。OpenAIの設立に関わったものの、途中で距離を置いていたイーロン・マスク氏も急遽、研究チームを立ち上げたとされた。
一方、これらの喧噪をよそに沈黙を続けているのが、アップルだ。ティム・クックCEOがChatGPT関連で具体的な発言を行うことはなく、逆にその沈黙が何かを語っているのでは、との憶測すら出たものだ。だがここに来て、わずかながら情報が伝わってきた。
「2月にはブルームバーグがアップルの社内で社員向けのAIイベントが開催されたことを伝えていて、3月にはニューヨークタイムズ他、複数のメディアが、アップルがAI開発を見直している、音声アシスタント『Siri』のエンジニアも交えて、言語生成コンセプトのテストを毎週行っている、などと報じたのです」(前出・ジャーナリスト)
Siriの登場は、新奇性もあってアイフォンの販売増につながったと言われている。これを見て、アマゾンは「Alexa」を、グーグルが「Googleアシスタント」を投入してきたのは周知の通りだ。Siriは音声アシスタントにおけるAI導入で先行してきたのは確かであり、だからこそ、クック氏の沈黙と社内の動きに関心が集まっているのである。
「アップルはもともと新しい製品カテゴリーにすぐに飛びつかない企業で、今のところは特に検索システムで争っているわけでもないので、今回の沈黙もわからないわけではありません。ただ、ヘッドセットやアップルカーはずっと開発中と言われながら、未だに詳細はわかっていません。これまでも同社が新しいものを出してくる場合、他社とは全く違うコンセプトの商品だったこともあり、その意味ではアップルファンの期待が高まっているのです」(ITライター)
音声アシスタントとチャットボットは似て非なるものだが、将来的には統合されると見られている。となればなおさら、この分野におけるアップルの動向が気になるのである。