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TikTokのアプリ内課金収益、他のソーシャル大手合計を上回る

Apple(アップル)がユーザープライバシー機能「App Tracking Transparency(ATT)」を導入して以来、ソーシャルネットワーク大手の収益は大幅に落ち込んでいる。2020年に発表され、翌年に導入されたATTはFacebook(フェイスブック)、TikTok(ティックトック)、Snap(スナップ)、Instagram(インスタグラム)がターゲット広告に使用できるデータを制限する。このため、ソーシャル大手は広告中心の収益化に代わるものとして、一斉にユーザーの直接支払いに乗り出している。

「フェイスブック、インスタグラム、ティックトック、Twitter(ツイッター)、Snapchat(スナップチャット)は対価を支払ったユーザーのみがコンテンツなどを閲覧できるようにするペイウォールをまだ導入していないが、アプリ内購入(IAP)で製品/サービスを有料提供しており、アップルとGoogle(グーグル)はアプリ内購入で手数料をとっている」とモバイルデータ分析会社Apptopia(アップトピア)の副社長アダム・ブラッカーは説明する。「アップルがATTを導入して以来、ティックトック、フェイスブック、インスタグラム、スナップチャット、ツイッターは四半期のIAP売上高を合計で91%増やした」という。

アップルがiOS 14.5でプライバシー保護を導入する以前は、ソーシャル大手は広告経由でほぼすべての収益をあげていた。

豊富なユーザーデータはより良いターゲット広告を意味し、より良いターゲット広告は特にフェイスブックでより高い収益倍率を生み出した。利用可能なユーザーデータが少なくなったためにターゲットを絞った広告表示が難しくなり、広告収入は打撃を受けた。ソーシャル大手はユーザーからの直接支払いで失われた収入を補おうとしているようだ。

現在、スナップはSnapchat+を年間40ドル(約5500円)で、ツイッターはTwitter Blue(ツイッターブルー)を年間115ドル(約1万6000円)で提供している。どちらのプログラムもプラットフォームへのプレミアムアクセスや、有料会員限定の機能を提供している。フェイスブックとインスタグラムは主にフォロワーやファンに対して、お気に入りのクリエイターへの報酬支払いや投稿を目につきやすくするための方法を有料で提供している。

ティックトックは何よりもクリエイターへの報酬に重点を置いており、売上高は他のすべてのソーシャルネットワークの合計を上回る。

「ティックトックのアプリ売上高は7四半期連続で伸びている」とブラッカーはいう。「ティックトックは今年これまでのところIAPでフェイスブック、インスタグラム、スナップチャット、ツイッターの合計よりも2億500万ドル(約280億円)多く稼いでいる」という。

フェイスブックは反撃に出ている。つい先月、最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグは自身のインスタグラムアカウントを通じて、有料認証プログラムを発表した。ユーザーはウェブ決済で月12ドル(約1600円)、アプリ内で月15ドル(約2100円)を払えば、アカウントに「Meta Verified」という認証バッジを付け、さらなる安全性を確保し、そしてプラットフォーム上で自身の投稿を目立たせたりリーチを広げたりすることができる。アップトピアによると、フェイスブックは2022年にIAPで5600万ドル(約76億円)の収益をあげた。好調だったひところの収益よりは減少しているが、特にインスタグラムで改善が見られる。

インスタグラムは2月に100万ドル(約1億3700万円)近くのIAPを叩き出している。同じ月にツイッターは90万ドル(約1億2300万円)近くをIAPで稼いだ。おそらく微々たる額だろう。だが、さらに膨れる始まりの可能性が高い。

スナップはより長くIAPに取り組んでおり、ずっと多くの収入をあげている。スナップチャットの1日の収益は約12万5000ドル(約1700万円)に達し、今年は着実に成長している。

だが、IAPに関してはティックトックが真の巨人だ。

2022年第4四半期のティックトックのアプリ内収益は3億5000万ドル(約478億円)を超えた。 2020年の同四半期はわずか1億5000万ドル(約205億円)だった。いずれの数字も昨年の通年収益に比べると見劣りする。

「ティックトックは創業当初からIAPを導入しており、昨年のアプリ内収益はなんと15億ドル(約2050億円)だった」とブラッカーはいう。「そのIAPはユーザーがお気に入りのクリエイターへのチップや支払いに使えるコインのためであるという点で、フェイスブックのものと似ている」(ブラッカー)。

アプリ内収益は、ティックトックにとって本当に唯一の収益源であることに注意することが重要だ。本質的に、フェイスブック、インスタグラム、ツイッター、スナップがIAPで得ている額は全体の収益にとっては微々たるものだ。だがティックトックの例は、自分たちのプラットフォームで機能させることができればアプリ内の決済や購入が非常に現実的でかなり大きな収益機会であることをフェイスブックなどのソーシャルネットワークに示している。

これは広告を販売したり、ユーザーのデータを取得したりする必要がない収益機会であり、アプリ内ではなくウェブ上で完結すれば、より多くの収益を維持できる収益機会でもある。IAPコストの15〜30%は通常、モバイルプラットフォームであるグーグルとアップルの懐に落ちる。


2023-03-05 19:49:05



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