SafariとGoogle Chrome、今日もっとも人気のある2大ブラウザですが、macOSユーザーにとって、セキュリティの観点からどちらかがより優れているということはあるのでしょうか?
世界的な人気を誇る2つのブラウザのうち、macOSのセキュリティ面で優れているのはどちらなのでしょう?
「Chrome vs. Safari」これまでの歴史
SafariとGoogle Chromeは大手ハイテク企業AppleおよびGoogleによってそれぞれ開発されました。
Safariは Chromeより5年早い2003年の発表でしたが、いずれも2000年代にリリースされています。
Appleのスマホやタブレット、パソコンの爆発的な人気とともにSafariも広まり、iOSデバイスのユーザー間では一番のお気に入りに。
一方Googleは、Chromeブラウザのリリースより遡ること10年前から検索エンジンとして広く使われていたため、Chromeの名前はすぐに広く知られることになりました。
現在、数十億ものユーザーが世界中でSafariとGoogle Chromeを使用していますが、人気の度合いには明らかな差があります。
Safariが、全世界で10億のユーザーに支持されている(Apple Insiderによる)のに対し、Chrome は26億5千万ものユーザーに使われている(BackLinkoによる)そうです。
全世界における使用率という意味ではChromeに軍配が上がるのは確かですが、ChromeがmacOSのデバイスに最適かというと必ずしもそうとは言えないのです。
ラウンド1. アクセシビリティ
Google Chromeが、多種多様なオペレーティングシステムで使えるクロス・プラットフォームなブラウザであるのに対し、Safari は、iOSとmacOSをベースにしたAppleデバイスに特化したブラウザです。
Chromeは、LinuxやAndroid、Windows、macOSベースのデバイスにダウンロードして使うことができるので、利用範囲が格段に広いと言えましょう。
ただし、このクロス・プラットフォームには大きな落とし穴が。それはセキュリティ的に脆弱であるというリスクです。
オペレーティングシステムに特化したセキュリティ機能を活用しているネイティブアプリに比べ、クロス・プラットフォームのアプリは、セキュリティの脆弱性に晒されるリスクが高くなる傾向にあります。
加えて、オペレーティングシステムに特化したオプションを提供できない分、クロス・プラットフォームのアプリでは機能が限られている傾向があります。
macOSで、Safariの代わりにChromeを使っている場合、これが残念に感じられることもあるでしょう。macOSに関しては、のちほどまた詳しく述べます。
ラウンド2. セキュリティの機能
Safariのセキュリティ機能
まずは、Safariから。
Appleは、高度のセキュリティを提供することで知られています。
Safariも例外ではなく、インテリジェント・トラッキング防止機能をはじめ、秀逸なセキュリティ機能がいくつも組み込まれています。2017年にリリースされたこの機能、機械学習を活用して、ウェブサイトの機能には干渉することなく、サイト越えトラッキングをブロックします。
Safariには、「フィンガープリント」の作成を阻止する機能もあり、ユーザーのアクティビティをもとにウェブサイトがプロファイルを作成してしまうのを防ぎます。
さらに、Safariのサンドボックス機能により、サードパーティーのアプリが、ユーザーのデバイスに勝手に変更を加えてしまうのを阻止してくれるのです。
また、Safariのプライベートブラウズ機能を使ってウェブサイトを開くと、そのアクティビティが記録に残らないので、検索履歴を残さずにオンラインのサイトを閲覧することが可能です。
これは、プライバシーに関しては朗報ですが、VPN (バーチャル・プライベート・ネットワーク) とは別物であることに注意してください。
ビルトインのVPNを持たないSafariは、ネットで身元を隠しておきたいユーザーには使い勝手がよくないかもしれません。
VPNアプリを別途ダウンロードして、Safariでネットサーフィンをするときに一緒に使うことももちろん可能ですが、VPNがビルトインでついている便利なブラウザもあります。
Google Chromeのセキュリティ機能は?
では、Google Chromeのほうはどうでしょう。
Safari同様、Chromeにもサンドボックス機能がありますが、それ以外に、不審な添付ファイルやリンク、外部画像を阻止するフィッシング詐欺・マルウェア防止機能も提供されています。
スプーフィング攻撃にも有効で、未認証のメールアドレスを検知すると警告が表示されるので、不審な送信者からメールが届いたら気が付くようになっています。
ChromeのHTTPSファーストモードを使うと、悪質だと知られているHTTPSアドレスや不審なHTTPS アドレスに対しては警告が表示されます。これは、悪質なサイトから個人データを守るのに非常に重要です。
ラウンド3. macOSとの相性
事実、複数の観点からmacOSにはSafariがベストです。
まず、macOS上では、ChromeよりもSafariのほうがより効率よく機能するので、バッテリー消費が少なくて済みます。これは、充電できないような環境でデバイスを使用するときには、特にポイントが高いです。
次に、Google Chromeは、El Capitanより古いバージョンのmacOSにはダウンロードできません。もちろんSafariはすべてのmacOSバージョンに対応しています。
SafariがmacOSに特化して開発されていることは先にも述べた通りですが、Google Chromeは、どちらかといえばChromebookパソコン向けに2011年にリリースされたChromeOSで効率よく動作するようにつくられています。
このため、macOSが搭載されたMacやMacBookをお使いなら、専用のブラウザSafariを使うのが理想的です。
ラウンド4. ハッキング対策
こういったセキュリティの脆弱性の隙をついてサイバー攻撃を仕掛けようと、犯罪者が狙っています。
では、これらのブラウザーはすべて脆弱性の問題を抱えているのでしょうか。
まずは、Google Chromeから見てみましょう。
Chromeは、そのセキュリティの脆弱性のせいで近年様々な攻撃の被害に遭ってきました。ただ、Googleのセキュリティ部門は、脆弱性が発見されたら迅速に修正・通知を行ない、攻撃リスクからユーザーを守ってきたのです。
対して、Safari自体がハッキングされたことは一度もありません。
これは、Safariのセキュリティ性の面からはとても良い傾向ですが、ほかのソフトウェア同様、Appleのソフトウェアにとってセキュリティの脆弱性は大きな課題だと言えましょう。
Safariでも脆弱性を素早く修正するよう努めてはいますが、それでもゼロにすることは不可能です。Safariベースの脆弱性がサイバー攻撃に晒されたことは過去にあるので、いずれのブラウザーにもリスクは存在すると言わざるを得ません。
気になる判定は?
原則としてmacOSにはSafariがより適していると言えましょう。
macOSデバイスに特化されている分、Safariには、便利なセキュリティ機能やメリットがあります。
でも、Safariはいまいちというユーザーは、macOSデバイスでChromeを選んでも、それなりに便利な機能もあり、十分な保護が得られます。
いずれのブラウザーを選ぶにしても、必要なセキュリティのオプションを有効にして、安全面には気を配るようにしてください。
ChromeとSafari、いずれも優秀だが、勝負はついている
macOSのデバイスをお使いなら、macOSオペレーティングシステムに最適化されたSafariを使うといいでしょう。
Google Chromeが劣るというわけではありませんが、Appleデバイスだけのために設計されたブラウザーでない分、スペックで引けをとる部分があるのは否めません。