2019年に渡辺創太が創業したステイクテクノロジーズは、パブリックブロックチェーン「アスターネットワーク」を開発し、同社が発行する独自トークン「アスター」の時価総額は一時期2000億円を超えるなど、国内外で大きな注目を集めた。現在は国内の多くの有名企業が「アスターネットワーク」上でプロジェクトをスタートさせている。日本のWeb3業界で存在感を発揮する渡辺氏に、ブロックチェーンをはじめとするWeb3と日本社会との関係について話を聞いた。
──ステイクテクノロジーズと、同社が開発するブロックチェーンである「アスターネットワーク」についてご説明ください。
元々日本で創設したステイクテクノロジーズでは、日本発のパブリックブロックチェーン「アスターネットワーク」を開発しています。アスターネットワークは異なるブロックチェーン同士を相互接続させたインターオペラブル(相互運用的)なスマートコントラクト(契約の自動的実行)を実現するためのプラットフォームとなります。アスターネットワーク上では、無数のアプリケーションが稼働してエコシステムを構築しています。
今年7月に日本国内の企業とWeb3関連企業との交流や協業促進を目的としたコンソーシアム「Astar Japan Lab」を設立し、9月にはアスタートークンがbitbankで国内初上場をしたこともあり、数多くの事業開発も進めています。例えば博報堂とのジョイントベンチャーの設立や、『ファイナルファンタジー』シリーズで知られる世界的アーティスト・天野喜孝さんのNFTプロジェクトなども展開しています。
Japan as No.1 AGAIN
──アスターネットワークは9月にも日経新聞に全面広告を掲載して話題を呼びました。
「Japan as No.1 AGAIN」と銘打って、アスターの想いに共感いただいた329社/プロジェクトのロゴを掲載しました。いい意味で反応は賛否両論でしたが、ひとつの広告に載った企業数としては当社調べですがギネス記録だったらしいです(笑)。「Japan as No.1」という言葉は、数十年前の経済発展だけでなく、2010年代中盤に暗号資産市場の中心にもなっていた日本を意識しています。
当時、暗号資産の取引は日本でも盛んに行われていましたが、18年のコインチェック事件や金融庁の厳格な規制などもあり、日本は暗号資産やブロックチェーン分野で世界の後塵を拝していくようになりました。
一方、Web3の世界も3~4年前までは革新的なテクノロジーを開発すれば認められていたものが、ここ1~2年で技術がコモディティ化し、キャズムを超えたフェーズに突入したことを強く実感しています。つまり、今後はWeb3の世界もマジョリティ層に開かれ、事業開発だったり政府との関係や法整備といった問題がより重要となるでしょう。円安が加速して経済市場が激動するように、さまざまな領域で新時代が始まっているのです。第一線の起業家たちにはこれからの社会の価値観や方向性といった新たなナラティブが求められています。