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IoT×ブロックチェーン、サムスンが新IoTセキュリティプラットフォーム発表

サムスンは、先日の開発者会議(SDC)で、ブロックチェーン技術を利用してデバイスのエコシステムを保護する新しいセキュリティソリューション「Samsung Knox Matrix」(ノックス・マトリックス)を発表した。元となったSamsung Knox(サムスン・ノックス)は、モバイルデバイスの世界で大きな進歩を遂げたSamsungのセキュリティプラットフォームだ。

現代のデジタル社会で、脆弱性を抱えているデバイスは、スマートフォンだけではない。ほとんどの人が、多数のデバイスにまたがる1つ以上のデジタルエコシステムに関わっている。スマートホームやIoTデバイスの増加にともない、ネットワークに接続されたすべてのデバイスの安全性を確保することも同様に困難になっている。

Samsung Matrix(サムスン・マトリックス)は、ブロックチェーン技術を使ってコネクテッドデバイスのセキュリティを強化することを目指している。Samsung Matrixと、それがコネクテッドデジタルエコシステムについて意味することは何だろう。

IoT、ブロックチェーンに出会う

IoT(Internet of things、モノのインターネット)とは、あらゆる機器やモノが、他の機器やモノのネットワークに接続される状況を示す広義の言葉だ。最もお馴染みの例はドアベル、スピーカー、テレビ、コンロ、冷蔵庫などが接続された「スマート」な家だ。

IoTデバイスの普及が進み、IoTデバイスの数が増え続けると、それにともないエコシステム内の脆弱性も高まる。また、エコシステム自身の安全性が損なわれる可能性も高い。接続されたエコシステム内のたった1台のデバイスが、危険にさらされるだけで、利用者は最も脆弱なレベルへと引き下げられてしまう。これらのセキュリティ上の脆弱性は、古いファームウェアのような、IoTデバイス内の複数の問題によって引き起こされ、その結果悪意のある者に対して脆弱となる。

セキュリティが早期に優先されなければ、将来のIoTにとって最大の障害の1つになる可能性があるだろう。コネクテッドエコシステム内のデバイスの安全性を確保するためのサムスンのソリューションは、ブロックチェーン技術を使用することだ。

ブロックチェーン技術は、ブロックチェーン上で安全な支払いや検証を行うことができるため、過去5年ほどの間にフィンテックの中で爆発的に普及した。ブロックチェーンがフィンテックに適している理由の1つは、分散型台帳とも呼ばれるブロックチェーンに蓄積されたデータは、その前後のブロックをも同時に変更しない限り、一連の取引を後から変更することが不可能であることである。前後のデータブロックによって正しさが保証されるデータの連鎖なのだ。

Knox Matrix(ノックス・マトリックス)

サムスンのKnox Matrixは、個人のデバイスのエコシステム内にプライベートブロックチェーンを実現する。サムスンによれば、ユーザーの接続機器が、多層的な相互監視によってセキュリティ強化が行われるという。Knox Matrixは、OSには関係なく信頼できるデバイスのチェーンを作る。エコシステム内のデバイスが多ければ多いほど、より安全となり、信頼のチェーンも多くなる。サムスンによると、Knox Matrixは、初期段階ではサムスン製デバイス専用だが、最終的には開発者用SDKを通して他のメーカー製品にも対応する予定だという。

最近、フィンテック世界にブロックチェーン技術が爆発的に普及しているが、ブロックチェーンに関する詐欺の数は、実際の使用例や革新的なソリューションの数よりも多い。いうまでもなく、フィンテックや暗号資産の中には、まだ世の中を変えていないすばらしい技術がたくさん隠れている。サムスンは、IoTにおけるセキュリティの必要性に応えるため、ブロックチェーンを使った現実的なユースケースを実現したのだろう。

ブロックチェーン技術の固有の性質が提供する最高の価値は、Knox Matrixに接続するデバイスが増えれば増えるほど、エコシステムの安全性が高まることだ。IoT領域は今後10年間でさらに拡大すると予測されており、Knox Matrixも当然、それに合わせてスケールアップして行く。

また、Knox Matrixは、信頼できるデバイス間で脅威を相互に監視することでセキュリティを強化する。Knox Matrix内のすべてのデバイスが、エコシステム内の他のデバイスから責任を持たれるのだ。また、デバイス間で認証情報を共有することで機密情報が保護される。データ(機密情報)をブロックチェーン上に保存する方法が安全かつ分散型であるため、ログインや決済処理をより便利に行うことができる。

まとめ

自宅の冷蔵庫からパソコンにアクセスされたために、銀行の認証情報にアクセスされる可能性があると想像してみるのは興味深い。IoTデバイスは今後も普及するし、家庭内でも増えていくはずだ。

サムスンは、プライベートブロックチェーンを通じてデバイスのエコシステムを保護するKnox Matrixを使って、IoTに内在するセキュリティ不足に対処する。Knox Matrixの最大の特長は、コネクテッドエコシステムに追加されるデバイスが増えるほど、より良く、より安全になることだ。

注:ムーア・インサイツ&ストラテジーのアナリストであるジェイコブ・フレイマン氏がこの記事に協力している。



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