華為技術(ファーウェイ)の常務役員でICTインフラ施設業務管理員会主任も務める汪濤氏は、同社が19日からタイのバンコク市内で開催した華為全聯接大会(ファーウェイ・コネクト2022)において、最終日の21日に行った基調講演で、「スマート世界の実現」のために通信分野での5.5G(第5.5世代通信)を迅速に確立する必要と力説した。汪氏は5.5Gに向け進むための「8つの提案」も論じた。
汪氏は「スマート世界」について、個人、家庭、産業のいずれも、デジタル関連のインフラへの要求を高めると説明。例えば、仕事についても、仮想現実(VR)などをさらに進化して現実世界と仮想世界を融合するエクステンデッド・リアリティー(XR)が求められるようになると主張した。
また、産業用ロボットは情報通信の遅延をマイクロ秒単位に引き下げる必要があり、電力網の信頼性は99.9999%に引き上げることが必要であり、自動運転自動車を学習させるためには、1台当たり年間180ペタバイト(1ペタバイト=100万ギガバイト)の情報を扱わねばならないという。
そのため、すでに実用化された5Gのシステムでは「スマート世界」を実現するための情報の処理を支えきれなくなるので、5.5Gが必要になるという。さらに具体的には、通信ネットワークでは高度な自律性、有効計算速度では現状の10倍以上、ストレージも現在の10倍以上、クライドの利用でもより上質なサービスを提供せねばならず、その一方ではエネルギー効率は現在の10倍にせねばならない。
汪氏は、5.5Gの実現のための「8つの呼びかけ」を表明した。まず、各産業分野におけるパートナーと、新技術についてビジネス上の価値がより大きな利用シーンを模索する。2点目は、やはり各産業分野におけるパートナーとともに、固定回線通信のF5.5Gの標準を成熟させていくことだ。第3点は、Net 5.5 Gの発展方向について、可能な限り速やかな共通認識を樹立することだ。
Net 5.5 Gとは、企業などのクラウド利用をより低コストで、より高度かつ柔軟にするための、通信についての新たな規格で、汪氏が同講演で新たに発表した考え方だ。
「8つの呼びかけ」の第4点は、中国でL4(レベル4)あるいはL5とされている、ネットワークの自律性目標について、産業界における標準と相互承認を達成することだ。第5点は、各産業界と共に、多様性があるウィンウィンを実現できるコンピューティング産業を樹立することだ。また、第6点は、パートナーと共に多様性あるデータ処理を実現するためのストレージの仕組みを定義し構築することとした。
第7点は、スマート世界を出現させるための基盤となる、各クラウドが結びつく「クラウド・エコロジー」を出現させることだ。最後の第8点は、イノベーションを継続することで、情報通信産業の省エネと排出削減を実現することで、そのための指標の統一が必要とした。