テクノロジーの分野では、模倣は最善の追従方法ではない。
10年以上前のPC対Macのバトルを覚えている人にとって、Apple(アップル)に真のパラダイムシフトが起きたのは、この会社が「パーソナルコンピュータ」であることをやめ、ステータスシンボルになったときだった。Macは、よりおしゃれで、よりクールで、より高価だった。
自動車業界では、Tesla(テスラ)が電気自動車をリードしているのは、他のブランドを真似たからではない。テスラの「ばかげたモード(ludicrous mode)」で急加速を体験したことのある人なら誰でも、同社が普通でない会社であることを知っている。
成功の理由は、純粋に革新的で注目度抜群の機能を持ち、誰にでもわかる斬新で便利なことをしているからだ。
誰もが知っているように、TikTok(ティックトック)があらゆるソーシャルメディアの注目を意のままにしているのは、アプリが若者たちにアピールし、その多くが相も変わらぬGoogle検索に飽きていて、Netflix(ネットフリックス)で育った世代だからだ。Z世代にとって、今やTikTokは、仕事を探し、クルマのオイル交換の方法を知るための日常的に使っている検索ツールだ。
最近、Instagram(インスタグラム)がこの流行に飛び乗ろうと、インターフェースに大幅な変更を加え、動画をより前面に押し出しメインにまでしようとした。しかし、すぐに同社はこうした計画を取り下げた。おそらくカーダシアン姉妹が変更を喜ばなかったからだ。
私はどちらのアプリも使っていてどちらも好きだ。自分に一番アピールする機能をいつも見つけることができる。私は熱狂的写真ファンで、Instagramで発見する驚くべきフィードにはいつも感心させられている。知り合いに写真家がいて、地元の大学で彼女について話したことがある。その実験的作品の数々に目を通すことは魅了される体験だった。TikTokでは、やり方を教えてくれる動画や、賢い人たちが複雑な話題を説明する動画に惹かれている。
しかし、アプリが別のアプリを真似し始めることは気がかりなトレンドだ。すでに膨大な支持者がいるInstagramが、TikTokのビデオフィード機能を真似てショートビデオをインターフェースの目立った位置に据えるは、明らかに失敗につながる道筋だと思う。
例えば、TikTokはユーザーを夢中にさせる最善の方法を見つけ出した。同社のアルゴリズムは私たちの行動のすべてを監視し続けている。あなたがある説明動画を、他の動画よりもほんの少し長い間立ち止まって見たなら、あなたに何をフィードすればよいかをアルゴリズムはもう知っている。いいね!したり、シェアしたりする必要すらない。最近の調査によると、TikTokは今年一番人気のあるアプリだ。
TikTokアルゴリズムを「コピー&ペースト」してもうまくいかない。そうではなく、Instagramは写真中心のフィードをさらに革新的にして若い視聴者にアピールする方法を見つけ出さなくてはならない。新しい機能を使ってみたがる人たちだ。
検索にGoogleを喜んで使っている人たちがいる一方で、Z世代は、新しい製品を見つけ、新しいつながりを作り、新しいレシピや旅行のアイデアを発見するための新機能に惹かれるかもしれない。すでにInstagramはそれをうまくやっているのだから、あとは体験の質を高め、今以上に実用的にする方法を見つける必要がある。
動画は選択肢の1つだが、その空間はすでにTikTokが支配している。
模倣はうまくいかない。TeslaやAppleがこの時代の代表的ブランドになったのは、他社のやっていることをコピーしたからではない。私たちがすでに使っている製品に、細かな改善を加えただけでもない。
人々の目があなたに向くのは、あなたが革新したときだけだ。