動画配信サービスのNetflixが、App Storeで配信するiOSアプリに「外部の会員登録サイト」にユーザーを誘導するリンクを設置し、Appleの決済サービスを使わずサブスクリプションに課金できるようにしていると、テクノロジー系メディアの9to5Macが報じました。
Appleは長らく、iOSアプリストアのApp Storeで配信されている有料アプリに対し、アプリ内課金の売上の15~30%を手数料として徴収していましたが、この「Apple税」とも呼ばれる手数料にはあまりにも高すぎるという不満の声が上がっています。そんな中、Netflixは以前からApple税を回避するためにアプリ内課金を使わない課金システムを導入しており、Appleからも「例外」の1つとして扱われていました。
近年では各国の規制当局もApple税を問題視しており、多くの国々で「サードパーティーの決済システムを認めるように」と命じられています。2021年9月には日本の公正取引委員会による調査を受けて雑誌・書籍・新聞・音楽や動画などの購読済みコンテンツを閲覧できる「リーダーアプリ」について、アプリ内に外部ウェブサイトへのリンクを含めることを許可するよう規約を変更することを明らかにしました。
Appleがアプリ内から外部ウェブサイトへのリンクを許可、全世界で規約変更へ - GIGAZINE
この決定を受けて、かつては独自に公式サイトでサブスクリプション課金をするよう誘導していたNetflixが、iOSアプリの中に「外部の会員登録ページ」へのリンクを埋め込んだことが9to5Macにより報じられました。
この変更は日本語版のNetflixアプリにも導入されています。実際に、App StoreからNetflixの公式アプリをインストールしてアプリを開くと……
すると、「アプリを離れて外部のウェブサイトに移動します。Appleとの手続きは、ここで終了となります」「このアプリを離れた後に作成したアカウントや購入は、開発元の"Netflix"によって管理されます。お客さまのApp Storeアカウント、登録されているお支払い方法、およびサブスクリプションの管理や返金のリクエストなどの関連する機能はご利用いただけません。開発元との手続きにおけるプライバシーやセキュリティに関する事項について、Appleは責任を負いません」という注意が表示されました。「続ける」をタップすると……
ウェブブラウザのSafariで外部のウェブサイトが開き、Netflixアカウントの作成およびログインができるようになりました。
海外メディアのThe Vergeは、いつからNetflixの公式アプリに外部ページへのリンクが追加されたのかは不明であり、Netflixも記事作成時点ではコメント要請に応じていないと述べています。