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デジタルファッションが拡張するアイデンティティー

2021年11月NFT.NYC 2021、2022年3月NFT.LA、2022年6月NFT.NYC 2022とNFTカンファレンスに参加して必ず毎回大きなテーマになるのが「ファッション」領域だ。ナイキが買収したRTFKT(アーティファクト)もデジタルスニーカーやARジャケットが話題になった。また、IRL(イン・リアル・ライフ)で交流する際にどのNFTを保有しているのか? 一目でわかるようにTシャツや帽子などファッションアイテムで示すこともよく行われる。

Bored Ape Yacht Club(BAYC)やDoodlesのようなブルーチップと言われる人気NFTに関してはホルダーしか購入できないストアで、ファッションアイテムを販売するので、街中でBAYCアイテムを身につけている人がいると、脳内でその人をNFTホルダーとしてタグ付けしてしまう。NFTの存在感を示すためにリアルな衣服・アクセサリーが重要である、とはNFTカンファレンスでよく聞く言葉だ。

同時にARフィルターを活用してデジタル上だけで着用できるファッションアイテムを展開するDressXの存在も大きい。NFTに限らずこれからのデジタルライフにおいて、自分のアイデンティティーを示すためのファッション領域のポテンシャルはかなり大きいと考える。

さて、デジタルファッション領域のユニークな取り組みをおこなっている企業3社にNFT.NYC 2022会期中のニューヨークで出会った。一社は「東京2020パラリンピック」の閉会式に登場したバーチャル・ヒューマン「imma」を率いるAww(アウ)だ。バーチャルヒューマンをこれから拡大するデジタルファッション領域でのモデルとして登場させている。

そして、AwwとともにNFT.NYC期間中にニューヨークのHigh Lineにて「Beyond - The new CHAPTER of digital fashion」というギャラリーにてデジタルファッション展示をおこなったロンドンのXTENDED iDENTiTY(エクステンデド・アイデンティティー)が2社目だ。

最後がファッションDAO(分散型自律組織)を率いるRED.DAO(レッド・ダオ)だ。

Aww代表守屋貴行氏、XTENDED iDENTiTY代表Xing Yunjia氏/Ziqi Xing氏(@Xidentity_Lab)、RED.DAO代表Thomas Yi氏(@think_flexible)にそれぞれデジタルファッションの可能性を伺った。

2022年6月、ニューヨークの廃線跡地に洒落た散歩道やカフェが連なるHigh Line、その一角で「AWW × XTENDED iDENTiTY Beyond - The new CHAPTER of digital fashion」は開催されていた。私が訪れたパーティーではデジタルファッション領域に興味をもっているニューヨークのモデルエージェンシーや、世界で活躍する日本人ギタリストMIYAVI、M-FloのVERBALらトレンドセッターたちの顔ぶれも見られた。

さて、盛況なパーティーの最中に、今回モデルとしてバーチャルヒューマンimmaを登場させているAww守屋氏にデジタルファッションの可能性について伺った。まずはデジタルファッションとリアルの繋がりをどう観ているのか? である。

守屋氏は「『デジタルファッションは着ることができないから需要がない』と言われることが多々あるが、その度に不思議な気持ちになる」と語る。「デジタルファッションは、自身たちがバーチャル上に身をおいた時にもっとも魅力を発揮するものと捉えています。自分自身の体験としてAPEXやFortniteにて自分が新しく新調スキンを身につけると、翌日友達も真似てスキンを買ってくることがあったことを覚えており、リアルファッションでの出来事と近いことがバーチャル上でも起きているのを体験したことがある人ほど、デジタルとリアルのファッションを混同することが少ないと思います。デジタル上で自身を投影し、デジタル、バーチャル双方での自分をファッショナブルにしたい欲は強いと感じており、そこにこそ価値があると思っています。

また、テクノロジーの進化がよりソフト・ハード面の両方で育つことで、現在顔へフィルターをかけているように気軽にちょっとAR上で全身着飾るようなことへの需要も高まるとも思います。」

確かに、私自身もZoomの背景を変更することから始まり、カジュアルなミーティングではSnap Cameraのフィルターを使って頭の上に猫を乗せることでミーティング相手を楽しませたり、Fortnite上で目立ちたいのでトマトのスキンを購入したり、と既にデジタルファッションを楽しんでいる。守屋氏が言う通り、これからARグラスなどのハードウェアなどの進化が起きると、自分が見ている世界を着飾りたい欲求も出てきそうである。

デジタルとフィジカル “フィジタルファッションアイテム”の可能性

Awwとともにデジタルファッションの展示を行なっているXTENDED iDENTiTYが手がけるYunjia Xing氏とZiqi Xing氏にデジタルファッションの価値をどのように考えているか、聞いてみた。

「私たちXETENDED iDENTiTYは、すべての人のアイデンティティを拡張することを目指しているデジタルファッションブランドです。女性やLGBTQ+コミュニティをはじめ誰もが自分の存在をデジタル上で感じられるように、ノンバイナリーのデジタルファッションを作っています」

「我々はデジタルファッション製品がオーディエンスにどのような価値をもたらすことができるかをより重視しています。私たちは、デジタルとフィジカルを組み合わせたフィジタルファッションアイテムを提供することを目指しています。デジタル製品の所有者は、私たちの先進的なAR試着技術によって、デジタル製品と一緒に着用し、スタイリングできるお揃いの物理的なアイテムを受け取ることができることを目指しています」

まず、いままでのファッションだと「消費者」と定義されている存在が「オーディエンス(観客)」として捉えられていることが面白いと感じる回答であるととともに、デジタルファッションには、デジタル・オンリーのものもあるが、フィジタル(フィジカル&デジタル)どちらでも楽しめる製品がこれから出てくることを予感させてくれる。

XTENDED iDENTiTYの共同創業者であるZiqi Xing氏はフィジタルだからこその価値付けが可能であるとも述べる。「現在開発中の私たちのデジタルファッションアイテムは、ARフィルターやVR上のスキン、オンチェーンゲームなど、さまざまなシーンで着用可能です。そして、フィジタル製品としてデジタル+フィジカルでも楽しめます。したがって、私たちの製品の価値は、単一のデジタル製品やフィジカル製品以上の価値をもたらします。メタバースと実生活において無限の可能性を持っており、ファッションアイテムを通じて双方のアイデンティティを拡張することができます」と述べる。

確かに単なるファッションアイテムだけではなく、さまざまなユーティリティーを有する存在にもなるのであれば、見た目は「デジタルシューズ」であっても通常の靴よりも価値をつけて販売しても良さそうである。

バーチャルヒューマンの可能性

最後に、デジタルファッションの可能性を引き出すバーチャルヒューマンの存在についても触れてみたい。今回のギャラリー展示でもモデルとして登場しているimmaを手がけるAww守屋氏に今後バーチャルヒューマンが活躍する場所はどこか? 聞いてみたところ「バーチャルヒューマンの価値はまだまだ未知数」である、と回答があった。

その理由は、今後immaはじめとするAwwのバーチャルヒューマンによるリアルタイム配信を予定しているそうで、今まで以上にバーチャルヒューマンと密なコミュニケーションが可能になるそうだ。より人間的な価値を発揮することで、モデルやアナウンサーだけではないバーチャルヒューマンの魅力や活躍シーンが増えていきそうである。

ある企業の産業医がメンタル問題にはリアルな人間よりもアバターで話をしたほうが心を開いてくれる、という話を思い出した。カウンセラーとしてもバーチャルヒューマンは活躍してくれそうである。

ファッション特化型DAO『RED.DAO』のThomas Yi氏にもバーチャルヒューマンの可能性を質問してみたところ以下の回答があった。

「Awwのimmaのようなバーチャルヒューマンは、物理世界とデジタル世界の境界を曖昧にしています。immaは、Awwのチームによってペルソナが形成されたバーチャル・オンリー・ヒューマンで、彼女のインスタグラムの投稿は、本当にバーチャルなのかと思うほど、かなりハイパーリアルに仕上がっています。私にとって、immaが象徴するのは、拡大し続けるデジタル浸食の世界における、私たちのヴァーチャル・アイデンティティのひとつの可能性です」

バーチャルの世界でアイデンティティを持つとはどういうことなのか。現実の世界とまったく同じ自分であるのか、それとも一点ではなく多次元的に表現されるのか?

「物理的な世界とは異なり、デジタルの世界では一人の人間以上の存在になることができるのがユニークな点です。あなたが望めば複数の人格を有することができます。そもそも、人間はさまざまな感情、アイデア、欲望、そして自己表現の方法を持ち、複雑で重層的です。将来、バーチャルヒューマンは、immaのような存在、既知の個人(自分自身の直接の表現)、匿名の個人、あるいはAIなど、さまざまな表現で現れるのかもしれません」

「身体的な外見に加えて、私たちのアイデンティティは、自分達が身につけているものにより表現されます。ファッションは常に、不当な権力に立ち向かうため、情熱や関心を示すため、あるいは単にその日の気分を反映するためなど、人々が自分自身を表現するために選択する方法です。だからこそ、私たちは、社会の中で共鳴するストーリーやコアバリューを伝えてくれると信じている特定のブランドと自らを同一視しているのです。ですから、バーチャルとリアルの人間が共存する時代に入ると、より選択肢が増え、現実世界の制限にもはや縛られることなく、我々人間はより自分らしさを発揮することができるようになります」

デジタルファッションはファッションの領域を超え、デジタルアイデンティティー構築を助ける。デジタルファッション、バーチャルヒューマンなどを「リアルに存在しないから価値がない」と考えていると次なる大きな波に乗り遅れてしまいそうであることを感じたニューヨークでの取材であった。


2022-07-12 03:28:41



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