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今秋Apple Watch、iPhoneはこう進化する、発表会から見えてきた次の新製品

アップルが開催した世界開発者会議「WWDC」の基調講演で、iPhoneのiOSをはじめとする次世代のプラットフォームが採用する新しい機能やサービスを発表した。その内容から、今秋以降に登場が予想される「次の製品」の姿もおぼろげながら見えてきた。一般に人気が高いiPhoneとApple Watchについて考察してみたい。

iPhoneは世話焼きな秘書のようになる

iPhone向けの「iOS 16」、Apple Watchの「watchOS 9」には各デバイスの使い勝手をユーザーが好みに合わせて最適化できるパーソナライゼーションの新しい機能が充実した。

iOS 16はロック画面に「ウィジェット」と呼ばれる情報表示が追加される。ウィジェットにはカレンダーに書き込んだイベント、天気、バッテリー残量、アラーム、時間帯、アクティビティリングの到達度などが揃い、画面ロックを解除してアプリを立ち上げなくても、それぞれの情報が素速く確認できる便利な機能だ。

メールアプリは「リマインダー」を強化する。「あとでリマインダー」は、ユーザーが決めた任意の日時にメールを再表示させる。「フォローアップの提案」では、返信を受け取っていないメールをユーザー自身にリマインドして追跡確認を促す。

日々手元に届く大量のメールの中に、大事な情報が埋もれないように防ぐことができそうだ。次のiPhoneについてハードウェアの機能やデザインを正確に予想することは難しいが、毎日を忙しく過ごすユーザーの生活により深く密着する秘書やマネージャーのような役割を担うことになるだろう。

CarPlayの進化は“アップル製スマートカー”誕生の伏線!?

アップルが2013年のWWDCで発表したCarPlayにも大きな動きがあった。iPhoneとケーブルで接続して、自動車をスマート化できるCarPlayの規格をサポートするカーエンターテインメントシステムはいま数多くある。

現在、CarPlayは車内にある1台のインフォメーションディスプレイと連係する仕様だが、2023年後半には「デジタルコクピット」のような、車内に搭載する複数のインフォメーションディスプレイにiPhoneのコンテンツを整理、最適化して表示できるようになることが、今年のWWDCで明らかにされた。

次世代CarPlayの使い勝手は現在のエンターテインメントを中心とする連係を超えて、例えばカーラジオのコントロールや空調の調整などに対応の幅を広げる。CarPlayは速度、燃料の残量、気温など自動車の走行環境データをピックアップして、それぞれのディスプレイに表示しながらドライバーの安全運転を支える。さらにさまざまな計器類の表示など、インターフェースのデザインは車種ごとのカスタマイゼーションも可能になる。自動車メーカーは次世代のプラットフォームをフルに活用することにより、CarPlayに対応すること以上の差別化と体験価値の提供が容易になりそうだ。新しいCarPlay体験のリファレンスとして、アップルが独自のスマートカーを発表する期待感も再び膨らんできた。

次期watchOSはユーザーのヘルスケアデータとより深くつながる

2020年春から新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが世界に広がり、人々が自身の健康管理に目を向けるようになった。そしてスマートウォッチなどのヘルスケアデバイスも脚光を浴びた。この機会にApple Watchを購入して、自身の健康管理や維持・増進を中心に役立てているユーザーが筆者のまわりにも多くいる。

次期watchOS 9には、Apple Watchユーザーの健康管理により深く踏み込む新機能が加わる。例えばユーザーが自身の体力づくりに適したメニューを自分で、あるいはトレーニングを支援するコーチの助言を得てカスタマイズしながら設定できる「カスタムワークアウト」がある。

Apple Watchをランニングに活用している方には、ウォッチが解析する「歩幅の長さ」「接地時間」「上下動」などを「ランニングフォーム指標」としてワークアウトアプリに表示する機能が役立つと思う。

watchOS 7から「ヘルスケア」アプリに睡眠トラッキングが追加された。次期watchOS 9には、Apple Watchに内蔵する加速度センサーと心拍数センサーが集めた信号から、ユーザーの眠りの深さを解析する「睡眠ステージ」が新設される。

新機能が誕生した背景には、Apple Watchに内蔵するセンサーやアルゴリズムの精度について、アップルがブラッシュアップを絶えず続けてきたことのほかに、米国を中心とする医療・研究機関との連携によるデータの知見を活かせたことがある。

米国ではiPhoneやApple Watchなどデバイスを使う一般のユーザーが、自身のヘルスケアデータを研究目的のため医療・研究機関に提供するためのプラットフォームとしてアップルが「Research」アプリを公開している。

科学的データの蓄積がまだ少ない人間の「睡眠」に関する研究を、アップルは今後も研究機関、および一般に広く普及するデバイスのユーザーと連係しながら深めていく考えだ。睡眠に関連する知見が充実すれば、ストレスやアルコール、カフェインなどの外的要因が睡眠習慣にもたらす影響や変化なども容易に把握できるようになるという。

心電図アプリと電気心拍センサーを内蔵するApple Watchは、不規則な心拍の通知機能によりユーザーの心房細動(AFib)の兆候を特定できる。ユーザーの心臓の健康を見守る機能もまた、watchOS 9以降から心房細動履歴計測として拡充される。

次世代スタンダードクラスのApple Watchに期待

ユーザーのライフスタイルに合わせたパーソナライゼーションの機能が強化されるほど、デジタルデバイスはユーザーに長年連れ添うパートナーや執事のような役割を担っていく。Apple Watchにおいてはもはや「体の一部」のような感覚で四六時中身につけているユーザーも少なくないだろう。

2016年秋に発売され、以降2万円台で買えるApple Watchのエントリーモデルとしてながらく親しまれてきたApple Watch Series 3が、いよいよ次のwatchOS 9の対象外デバイスになる。

成熟したパーソナライゼーションの機能が充実するiPhoneとApple Watchによるヘルスケア体験のエコシステムに、今後もより多くのユーザーが仲間入りできるよう、秋にはSeries 3に代わる入門機、あるいは次世代のApple Watch SEが誕生するかもしれない。

次期iOS、watchOSの新機能の一部は、7月以降に提供が始まる無料の登録制パブリックベータテストに参加することでいち早く試すことができる。



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