NFTに特化したブロックチェーンの「Flow」を運営するダッパーラボが、7億2500万ドル(約945億円)のファンドを立ち上げて、開発者を呼び込もうとしている。このファンドは同社の投資部門のDapper Venturesやアンドリーセン・ホロウィッツ(略称a16z)、Coatue、Digital Currency Groupらを含む投資家が参加するもので、Flowの7500人以上の開発者にFLOWトークンの付与などを含む幅広いサポートを提供する。
バイナンスは、自社のブロックチェーンBinance Smart Chainのために10億ドルのファンドを組成し、暗号通貨プロトコルのNEARもDeFi(分散型金融)に特化した8億ドルのファンドを立ち上げた。しかし、Flowのファンドは、1つのチームが資金を分配するのではなく、参加する投資家が個別に資金の割り当てを行う点が特徴だという。
ダッパーラボのCBO(最高ビジネス責任者)のMik Naayemは、「このファンドはどんなタイプの起業家でも、その人に合った方法で支援できる方法を確立した」と述べている。
例えば、投資会社のGreenfield Oneは、ベルリンに拠点を置く開発者にオフィススペースを提供する予定で、Liberty City Venturesは、Flow関連のプロジェクトで働く大学生に、2つの奨学金を提供する。さらにMiranda Venturesは、暗号通貨取引所のBybitと、BitDAOとコラボを行う機会を提供する。BitDAOは、Bybitとピーター・ティールの支援を受けている。
Naayemによると、このファンドの構想は数カ月前から進んでいたが、今回の立ち上げのタイミングは、金利の上昇と地政学的緊張が、暗号通貨を数カ月ぶりの安値に押し下げる時期に重なった。FlowのネイティブトークンであるFLOWの価格は、過去1週間で25%以上下落し、ビットコインとイーサーの下落幅を上回っている。
しかし、市場のボラティリティの高さにもかかわらず、Flowのアクティビティは盛んだ。ブロックチェーンの分析プラットフォームのFlowscanによると、Flowの1日あたりのトランザクションは、2021年9月以降に3倍に伸びて70万件を超え、アクティブアカウント数は今週、過去最高の50万件を突破した。
Flowの人気のプロジェクトとしては、北米プロバスケットリーグの「NBAトップショット」や米国のプロフットボールリーグの「NFL ALL DAY」などのスポーツ系のNFTコレクションが挙げられる。
ニュースサイトのコインデスクは8日、インスタグラムがFlowを含む複数のブロックチェーンの導入をテストする予定だと報じていた。Naayemはこの件について詳細を明かさなかったものの、「最初のリストに含まれていることに感謝する。これは業界にとって大きな動きになるはずだ」と述べた。