公式ストア以外からのアプリダウンロードについての危険性について、Appleが米上院司法委員会に対して文書を提出しました。
サードパーティと公式ストアのあり方見直し
欧州委員会の取り組みやEpic GamesとAppleの裁判などをきっかけにして、プラットフォームからのサードパーティの締め出しが世界的に問題となっています。こうした流れのなかで米上院司法委員会は2月、反トラスト法である公開市場法(Open Markets Act)の審議を議決しました。
この法律に従えば、App Storeではない、Webサイトなどのサードパーティからもアプリをダウンロードする「サイドローディング(サイドロード:sideloading)」ことが認められるようになります。
Androidと異なってiOSは現在、App Store以外からのダウンロードを認めていません。
ユーザーがマルウェアに汚染される危険も
iOSでアプリを提供するデベロッパーはApp Storeを経由しなければならないため、Appleの厳格な審査や同社に支払う30%の手数料が、市場の不当な独占に抵触するのではないかと見る向きもあります。
しかし、Appleは米上院司法委員会に対し、ユーザーがサードパーティからアプリをダウンロードするとマルウェアに感染する可能性もあるとし、セキュリティやプライバシーを尊重するためにも安易な開放は危険だとし、議会の意向に反論する文書を提出しました。
ユーザーが騙されてダウンロードしてくれればいいので、悪意ある攻撃者にとって、攻撃のハードルが下がるのは確かでしょう。提出された文書でも「マルウェアを配布するために使用されるごく一般的な詐欺に対し、高い障壁を提供してきた」として、AppleはApp Storeの有用性を強調しています。
仮に公開市場法が可決されれば、サイドローディングを防止する従来のポリシーは認められなくなるほか、決済システムでもサードパーティを受け入れることが義務付けられます。