スマートウォッチが欲しくなった際、Appleの「Apple Watch」シリーズに代表されるハイエンド製品を想像する人が多いことでしょう。しかし、より安価な選択肢として「スマートバンド」と呼ばれるジャンルも見逃せません。これらは決して斬新な製品ではありませんが、長引く自粛期間の影響や健康意識の上昇もあってか、ここ数年で世界的に市場規模が拡大傾向にあります。特に2021年には、多くのメーカーから洗練されたスマートバンドが展開された印象です。
本稿では、そんな2021年に発売されたスマートバンドのうち、注目製品をピックアップして紹介します。Apple Watchのような4万円越えのスマートウォッチに手は出せないけれど、5000円~2万円までならいけるかも……。そんな人は、ぜひチェックしてみてください。
国内ではスマホユーザーの10人に1人くらいが使用している
まず、市場の傾向について触れておきましょう。MM総研が2021年9月に発表したプレスリリースによれば、2020年度におけるスマートウォッチ(リストバンド方製品を含む)の国内販売台数は229.4万台で前年度比19.9%増。同社が実施したWebアンケートにおいて、スマートウォッチ・バンドの利用率は、スマホユーザーの9.4%を占めたといいます。10人に1人が利用しているくらいの感覚ですね。
また、同リリースによれば、国内市場における販売台数のシェアはAppleが1位で、Fibit(フィットビット)が2位、以下Garmin、HUAWEI、Samsung、その他と続きます。以下、主要なメーカー・ブランドごとに注目製品を紹介していきます。
なお、スマートウォッチとスマートバンドの境界線は非常に曖昧なため、本稿ではメーカーがスマートウォッチとブランディングしている一部製品についても、スマートバンドの延長線上として紹介します。
【その1】【その2】実質シェアトップのFitbit
上記のように、スマートウォッチ市場において、Appleに次ぐシェアを誇るのがFitbitです。ウォッチ型を除いたスマートバンド単体で言えば、同社が実質的な主要メーカーと言えるのかもしれません。なお、2021年1月にはGoogleが同社を買収したことで、今後の動向にも注目なブランドとなりました。
2021年は、Suicaに対応した「Fitbit Charge 4」(約2万円、価格は税込かつ基本的に発売時点での情報を記載、以下同)および「Fitbit Charge 5」(2万4900円)、およびラグジュアリーなつけ心地を優先した「Fitbit Luxe」(1万7990円)などが発売されました。Suica対応や、高級感の演出、子ども向け製品など、代表的なトレンドを生み出しているのは、さすがスマートバンドにおける筆頭ブランドだ、と感じるところ。
↑3月に発売された「Fitbit Charge 4」。同機を筆頭に、昨今はSuicaへの対応機種が一気に増えた印象だ。9月には後継機種の「Charge 5」も発売された
↑5月に発売された「Fitbit Luxe」。廉価帯のスマートバンドながらも高級感のあるデザインを採用し、ストラップのつけ心地にもこだわった一台
【その3】【その4】【その5】クオリティに長けたHUAWEI(ファーウェイ)
スマートウォッチとしてシェア3位だったGarmin(ガーミン)は、どちらかというとスポーツウォッチに特化したブランド。今回取り上げるスマートバンドという視点では、次に注目すべきはHUAWEIです。
特に、同社が展開する縦長ディスプレイ搭載の「HUAWEI WATCH FIT」シリーズには要注目。製品名からわかる通りあくまでも“スマートウォッチ’という扱いですが、デザインはスマートバンドに近く、機能は上位互換です。スマートバンドの話をするうえで、これを語らないわけにはいきません。
なかでも、2021年4月に発売された「HUAWEI WATCH FIT Elegant」はクオリティが高かった印象。ストラップには、Apple Watchシリーズのバンドでもおなじみのフルオロエラストマーを使っており、つけ心地の良さは群を抜いていました。市場想定価格は1万9800円(税込)で、コストパフォーマンスも良好です。さらに、12月には革バンドを選択できる「HUAWEI WATCH FIT mini」(税込1万9800円)なども登場しました。
また、より廉価な選択肢としては、「HUAWEI Band 6」(5月発売、税込8580円)にも注目です。こちらは紛れもなくスマートバンドと言える製品。HUAWEI WATCH FITシリーズと比べると見劣りする部分はありますが、コスト重視ならば検討する価値はあるでしょう。
ちなみに同社は、スマートバンドがヘッドセットになる「HUAWEI TalkBand B6」(7月発売)や、シューズに固定してランニングのデータを計測できる「HUAWEI Band 4e」(2月発売)など、尖った製品も精力的に展開しています。政治的な事情もあって、スマートフォンの国内展開が失速してしまった同社ですが、スマートバンドなど周辺機器市場での存在感は大きくなっている印象です。
【その6】【その7】コスパで攻める新参のOPPO(オッポ)
そんなHUAWEIと入れ替わるように、堅実に日本のスマートフォン市場での展開を進めてきたブランドがOPPO(オッポ)です。そして、4月には日本市場向けで同社初となるスマートバンド「OPPO Band Style」が発売されたように、2021年からは周辺機器市場でも注目すべき存在となりました。
OPPO Band Styleの最大の特徴は、5000円を下回る価格。それでいて2種類のストラップを同梱しているなどコストパフォーマンスは高めです。当然、価格相応の部分はありつつも、コストを最優先する場合には検討する価値は大いにあります。
また、12月には睡眠モニタリングを搭載した「OPPO Watch Free」も発売。こちらは縦長ディスプレイ搭載のスマートウォッチで、ディスプレイが1.64インチと大型です。“スマートバンド”と言えるかどうかはギリギリのラインですが、合わせてチェックしておきたいところ。
【その8】低価格帯ではすでに定番なシャオミ
そんなOPPOのライバルとも言えるのが、シャオミです。同社もスマートフォンだけでなく、スマートバンド市場でも価格感で横に並ぶ存在と言えます。ただし、同社は元々家電を得意とするメーカーであり、国内のスマートバンド市場では、OPPOよりもシャオミの方が先行していました。具体的には、数年前から「Miスマートバンド」シリーズが展開されています。
同シリーズでは、2021年1月に「Mi スマートバンド 5」(税込4490円)が、7月に「Mi スマートバンド6」(税込5990円)が発売されました。
↑「Mi スマートバンド6」。OPPO Band Styleや同機が、BIGLOBEモバイルのようなMVNOで取り扱われていたこともトレンドとしてチェックしておきたい
以上のように、一言で“スマートバンド”と括っても、価格や質感などにはかなり幅が出てきました。トレンドとしては、SpO2の測定や睡眠のトラッキングなど、ウェルネス機能を重視するのが標準的になってきていますので、その点にも注目してみると良いと思います。
ちなみに、筆者のおすすめは、「Fitbit Luxe」や「HUAWEI WATCH FIT Elegant」などストラップバンドの質感にこだわったラグジュアリーモデルです。身に着ける時間が長くなるスマートバンドだからこそ、コストよりも品質を重視して選ぶと、満足度が高くなると思いますよ。