「他キャリアに移ったあとも、これまでのキャリアメールが利用できる」そんなサービスが現在導入されはじめているという。若年層にとってはあまり馴染みがないかもしれないキャリアメールだが、30代以上の人々であれば「携帯電話を持ったときに主流だった」という人も多いのではないだろうか。しかし近年はフリーメールが一般化し、チャットツールなども広く普及したことで、年々その存在感が薄れてきているのも事実だ。
はたしてこのサービスはどんな人々にメリットのある話となるのだろうか。
キャリアメールが転出後も利用可能に
読売新聞オンラインは12月15日、自身の独自記事として「ドコモ・KDDI・ソフトバンクの3大キャリアが、携帯会社から転出したあとも既存のキャリアメールを利用できるサービスを導入する方針を固めた」と報じた。
ドコモとKDDIは既にHP上で「ドコモメール持ち運び」「auメール持ち運び」の案内ページを公開。ドコモでは12月16日から月額330円(税込、以下同)で、KDDIでも12月20日から同じく月額330円で提供を開始する。またソフトバンクに関しても12月16日時点で案内ページは公開されていないが、同社広報がニュースメディア・ケータイWatchの取材に対し「年内に提供する予定」とコメントしたという。
これにより他キャリアへのMNPのほか、2021年はじめに相次いでスタートした「ahamo」などの新プランや格安スマホなどへ移動しても元のキャリアのキャリアメールを利用可能となる。これまで「キャリアメールが使えなくなると困るから…」と転出を断念していたユーザーにとっては非常にありがたいサービスとなりそうだ。
新たなサービスのスタートにネット上からは「この決定は正直嬉しい」「このサービス待ってました!」など、歓迎の声が相次いでいる。しかし一方で「キャリアメールはもう10年以上使っていません」「ドコモから楽天モバイルに変えた時にGmailにしたけど何の問題もなかった」といった“キャリアメール不要派”の声も少なくなかった。
たしかに筆者もキャリアメールを持っているが、知人との連絡はほとんどがLINEなどのチャットアプリだ。メールもGmailを持っているためそちらの利用がメインとなっている。しかしそれでもキャリアメールの持ち運びが嬉しいと思うのは、連絡手段としてよりも「何のサービスでキャリアメールを登録しているかがわからないから持ち続けたい」という心理があるからなのだ。
ネット上でも「あらゆるアプリのIDがメアドなので、それが変わるとなればいくつもIDの変更が必要になる」「友人間ではもう使ってないけど、あらゆる登録やログインをキャリアメールでやっていたので、それを全て変更するのが非常に面倒で結局そのまま」といった登録変更の手間を理由にキャリアメールを残したい、というユーザーが多く見られた。
こうしたユーザーニーズも存在するからこそ、もしかするとこのサービスは現状のキャリアメールの利用度合い以上の人気を獲得する可能性も秘めているかもしれない。