iPhoneをカーナビ替わりに使う、という人は多いだろう。車はもちろん、サイクリングからツーリングまで、さまざまな場所へと私たちをナビゲートしてくれる。1台あればさまざまな乗り物にすぐ取り付けられるのも便利だ。
そんな便利なiPhoneだが、特定の周波数の範囲内の高振幅の振動に長時間さらされると、カメラ機能に悪影響を及ぼす可能性がある、とアップルが警告を出したのである。
ただし、この警告にはちょっとしたオチがあった。
長時間バイクの揺れにさらすと、優秀なカメラ機能に悪影響を及ぼす可能性が
アップルによると、「iPhone 12 Pro Max」などの一部のモデルのカメラには、撮影時のいわゆる“手ブレ”を抑え、多少手元が怪しくてもクッキリきれいな写真を撮ることができる「光学式手ぶれ補正機構」や、重力や振動の影響を測定してピントを維持する「閉ループオートフォーカス」が搭載されているという。これほどまでに高機能なカメラが本来“電話”であるはずのスマートフォンに搭載されている進化にあらためて驚くが、このあたりの機能が、ある周波数の揺れのもとに長時間さらされると、この2つの機能の性能が低下する恐れがあるとのことだ。
ある周波数について、アップルはハッキリ「高出力かつ大容量のオートバイのエンジンが発生させる振動」と、いわば名指しのような形で、具体的に書いている。つまり、「大型バイクに長時間乗せて走るとカメラ機能が低下するかもよ」ということを公式的にアナウンスしているのである。ツーリング先では当然旅の思い出にiPhoneで撮影するはずだ。そのときに思いっきりブレた写真やピンボケ写真になってしまうのは避けたい。バイカーの皆さんはどうかお気を付けを。
それはわかった、気を付けなくちゃ、となって終わるところだが、実はこの話にはちょっとしたオチがある。それはアップルが公開している過激すぎる公式CMムービーにあった。
アップルの公式YouTubeチャンネルの「The Saudi desert riders | Shot on iPhone」という動画→こちらがある。サウジアラビアの砂漠で、バギーカーに取り付けられた「iPhone 11」で撮影された4K映像だが……確かにとてもスマートフォンで撮ったと思えない鮮明な画像に驚く。砂は舞うレベルではなく砂嵐のような状態だわ、バギーカーは砂漠の上を何度も豪快にジャンプするわで、この後撮影に使われたiPhoneが無事だったのかと不安になるほど激しい状況下でのムービーとなっている。
これは“長時間の”バイクの振動にはあたらないのかもしれない。だが、こんな激しいCMムービーを公式に出しておいて、今さら「長時間バイクに乗せるのはおすすめしない」というアナウンスは、アップルさんらしからぬ盛大なブーメランと言えるのではないだろうか。この激しい砂漠でのムービーは2世代前のiPhone 11で撮影されたものだ。次に発売されるiPhone 13では、長時間の振動にも多少は強くなっているのか。ツーリング好きならずとも、ちょっと気になるところである。