米マイクロソフトが発表した新たな基本ソフト(OS)「ウィンドウズ11」のロゴ(同社提供)
【シリコンバレー時事】米マイクロソフト(MS)の新たな基本ソフト(OS)「ウィンドウズ11」が24日、ベールを脱いだ。画面上の操作性改善を図ったほか、スマートフォンで人気がある多様なアプリを使えるようにするなど、利便性の充実へ積極策を投入。新型コロナウイルス禍で上向いたパソコン(PC)需要を追い風に、虎視眈々(たんたん)と「復権」をうかがう。
「(アプリ配信サービスの)マイクロソフト・ストアをオープンにしていきたい」。パネイ最高製品責任者は24日のオンライン発表会でこう語り、これまで対応していなかったグーグル製OS用のアプリを利用可能にする仕組みを解説。中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」をPCで起動させる映像を流し、新機能の魅力をアピールした。
MSによるOS投入は2015年の「ウィンドウズ10」以来、約6年ぶり。年内に提供を始める新OSは、アプリ開発者が負担の少ない決済システムを選べるようにもした。収益向上を通じてウィンドウズ用アプリの開発意欲を高め、スマホ勢に大きく水をあけられているアプリのラインアップを強化するのが狙いだ。
グーグルやアップルは、アプリの課金収入に対する手数料が高額との批判を浴び、訴訟に発展。米政府・議会もIT大手による市場寡占を懸念し、規制強化に乗り出している。
MSは今のところ矢面に立たされていないが、コロナ禍で業容を拡大した結果、監視の目が厳しくなる可能性もある。このため同社の取り組みには、当局の機先を制する意図もあるのではないかとみられている。