Windowsを使っていて、そのお節介な挙動に何かとイラッとさせられるのが、音声アシスタントのCortana(コルタナ)です。ネットで名前を検索しても「Cortana 無効化」「Cortana 消えない」「Cortana 勝手に起動」など、サジェストされるキーワードはネガティブなものばかりで、ユーザからどのように見られているのかがよく分かります。
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もっとも、Cortanaが評判を悪くしているのはその挙動よりも、アンインストールできないという制限によるところが大きそうです。あっさり削除できれば目にせずに済むものを、目に付くがゆえに余計に嫌われる、筆者の目にはそのように映ります。WindowsにはこのCortanaに限らず、不要なのにオフにできないアプリや機能が少なくありません。
こうした、通常では不可能なWindows標準アプリを削除できるとともに、Windowsがバックグラウンドでサーバに送信しているユーザの利用状況などの通信をブロックしてくれるのが、今回紹介するフリーソフト「WPD」です。今回はこのソフトの特徴と、オススメの使い方を紹介します。
なお、こうしたソフトのいずれにも言えますが、やみくもに使うとWindowsが正常に動作しなくなるなど、トラブルが発生する可能性があります。また自分自身が管理者でない社用のPCなどに適用するのはくれぐれもご法度ですので、自己責任で利用するようにしてください。
「Cortana」はもちろん「People」「マップ」なども削除できる
「WPD」はもともと、バックグラウンドでサーバに送信されている操作履歴をはじめとしたユーザのプライバシー情報を、送信されないようブロックしてくれるソフトです。これらの機能に付随して、通常はアンインストールできない「Cortana」などのアプリを無効化する機能を搭載しているというのが、正確な説明になります。
具体的な使い方を見ていきましょう。本ソフトはインストールを行わなくとも、ダウンロードして解凍を行うだけで利用可能になります。アイコンをダブルクリックして起動すると、「プライバシー」「ブロッカー」「アプリ」という3つの項目が表示され、そこからさまざまな設定を行うことができます。
まずは「アプリ」から見ていきましょう。これは前述の「Cortana」をはじめ、Windowsに標準搭載されているアプリのうち、普通のやり方ではアンインストールできないソフトを、削除できる機能です。これにより、プライベートな情報がサーバにアップロードされる原因を取り除けるというわけです。
Cortana以外では、「People」「フォト」「マップ」など、Windowsにプリインストールされているものの使う機会のないアプリや、画面録画をしなければ出番のない「Xbox Game Bar」なども削除できます。アプリ一覧も、ずいぶんとすっきりすることでしょう。
自動実行されると困る「Windows Update」を一時的に停止できる
続いて「ブロッカー」を見ていきましょう。ここでは、Windowsがサーバに送信しているユーザの利用状況などのデータを、送信されないようにブロックしてくれます。いかに匿名であっても、自分の操作にまつわるデータが送信されているのが気持ち悪いと感じる人にはぴったりでしょう。
この「ブロッカー」のもうひとつの特徴として、Windows Updateをブロックする機能が挙げられます。Windows Updateの無効化は、セキュリティの観点からは推奨できませんが、それでも一時的にブロックしたい機会はよくあるものです。
例えば、何らかの作業をやりかけのまま放置していて、その間にアップデートがかかって作業内容が消えてしまうと困る場合。またソフトなどの動作検証を何日間にもわたって行っていて、途中でWindowsのバージョンが変わるとやり直しになってしまう場合は、ここでブロックしておくことで、目を離した隙にWindows Updateが自動実行されるのを防げます。
自動的に送信されている利用状況データを根こそぎブロック
最後に紹介するのは「プライバシー」です。ここでは、Windowsがもともと備えるさまざまな機能のうち、プライバシーにまつわるさまざまな機能を、無効化することができます。
代表的なのが、Windowsの品質向上を目的に、PCのハードやソフトの構成、さらにユーザの利用状況のデータを送信する、カスタマーエクスペリエンス向上プログラムです。これらはWindowsのインストール時に有効・無効を指定できますが、意に反して有効にしてしまっていることはよくあります。これ以外の、エラー報告のプログラムなども同様です。
ここではそうした項目をオフにできるとともに、Windows以外の同社のソフトにおける同様の設定もオフにできます。具体的には、ブラウザ「Edge」で、クレジットカード情報のオートフィルを無効にするなどの、細かい設定が行えます。ちなみに高度な設定をオンにすると、OneDriveやWindows Defenderも無効化できますが、こちらは触らないほうがよいでしょう。
ちなみに詳しい人向けに言うと、これは「ローカル グループポリシーエディター」で変更できる項目の中から、プライバシーまわりの項目をピックアップしてリスト化したものです。あちこちに散らばっている項目を一覧で見られるので、設定漏れがないかをチェックする目的でも利用できます。
復元ポイントは必ず作成するべし
さて、ここまで紹介してきた機能を使うにあたり、必ず事前に行っておくべきなのが、復元ポイントの作成です。復元ポイントをあらかじめ作成しておくことで、本ソフトで行った設定変更により動作に問題が発生した時に、元の状態に戻すことができます。本アプリを利用するにおいては、必須の作業と言ってよいでしょう。
ただし「アプリ」で削除したアプリについては、この復元ポイントを使っても元通りにはならず、復元するにはWindowsの再インストールが必要となります。そのため役割がよくわからないアプリの削除は避け、今回紹介しているCortanaのような、実際に迷惑であると感じたことがあるアプリに限定しておくのが無難です。
「WPD」は、Windowsの公式ソフトではないものの、標準アプリと言って差し支えない完成度で、リリースから1年以上を経て、安定したバージョンへと進化しています。日本語化もされており、インストール不要で使えることから、手軽に試せるのは大きなメリットです。
PCの高速化という点ではあまり効果はありませんが、知らず知らずのうちに送信されていたプライベートなデータをこのソフトをきっかけに遮断できるようになれば、それに越したことはありません。「まずはCortanaを無効化したい」といった、身近な理由から試してみてはいかがでしょうか。