「Googleアプリが端末の位置情報を無効にしても位置情報を収集し続けている」という問題で、アリゾナ州がGoogleに対して訴訟を起こしています。2021年5月29日に新たに開示された情報によって、Googleが位置情報をオフにさせないようにさまざまな策を講じていたことが明らかになっています。
2018年8月、AP通信が「一部のGoogleアプリはユーザーが端末の位置情報をオフにしても位置を追跡し続けてデータを保存している」と報じました。この報道の中で、位置情報の追跡機能をオフにしたとしてもすべての位置情報追跡機能が無効にならないという点や、デフォルトで有効になっているGoogleアカウントの「ウェブとアプリのアクティビティ」まで無効にしなければ位置情報が追跡され続けるという点、全ての追跡機能を無効にするための手続きが複雑である点が問題視されました。
Googleアプリはたとえ位置情報を無効にしても場所データを追跡・収集し続けていると判明 - GIGAZINE
アリゾナ州検事局はこの問題に着手し、2020年5月にはGoogleを「アリゾナ州の消費者詐欺法に違反している」として訴えています。この訴訟に際して提出された証拠文書の中で、Googleの社員ですらGoogleアプリの位置情報をオフにするための設定が難解すぎると認識していたことが明らかになっています。
Google社員は「Googleアプリの位置情報をオフにしても位置情報を収集する設定」が誤解を招く難解なものと認識していた - GIGAZINE
2021年5月29日、証拠文書のうち、提出時には黒塗りとなっていた箇所が裁判官の命令により部分的に公開されることとなりました。この新たに公開された部分の中で、Googleはさまざまな手段を利用してユーザーの位置情報を収集しており、Googleと連携していないサードパーティーのアプリでさえもGoogleに位置情報を共有するように強制していたと判明。Googleの社員が他の社員に「サードパーティーのアプリがGoogleを介さずに位置情報を共有することはできませんよね?」と確認した文章も公開されています。
また、Googleは位置情報収集のためのエコシステムを設計しており、Googleの社員が「ユーザーの現在地をGoogleに提供しない方法はほとんどない」と認めていることも明らかになっています。Googleのマップ担当ヴァイスプレジデントであるジャック・メンゼル氏は「Googleが自宅と職場の住所を推測しないようにする唯一の方法は、虚偽の住所を設定することだけです」と述べています。
他にも、Googleは位置情報の追跡を簡単にオフにできる機能を実装していたAndroid 4.4 KitKatにおいては検索効果が低減してしまっていたというデータも提出しており、位置情報に基づく検索結果を表示させる機能を向上させるために尽力していたことも明らかになっています。
加えて、Googleは位置情報の追跡をオフにする機能の存在をユーザーに分かりにくいように配置し、他のAndroid OSを使用しているメーカーにも同様の措置をとってもらうよう努力したことも判明しています。開示された文章には、GoogleがLGに位置情報の設定トグルの配置を変更させたと記されています。
海外メディアのThe Vergeによると、Googleの広報担当者は今回の訴訟に関し、「競合他社は我々のサービスについて誤った説明を行っています、我々は常にプライバシー機能を製品に組み込み、位置情報の堅固な制御を提供しています」と述べたとのことです。