TikTok(ティックトック)の親会社であり、世界で最も価値のあるインターネット企業の1つであるByteDance(バイトダンス、字節跳動)は中国時間5月20日、共同創業者のZhang Yiming(張一鳴)氏がCEOを退任し、共同創業者のLiang Rubo(梁汝波)氏にバトンを渡すと発表した。
38歳の張氏は、従業員に宛てた社内メモで「長期的な戦略、企業文化、社会的責任」により多くの時間を費やすための移行だと述べている。
張氏は、現在ByteDanceの人事部長であり、大学の同級生でもある梁氏と、今後6ヵ月間にわたって協力し合い、スムーズな移行を図っていくとのこと。なお、張氏は引き続きByteDanceの取締役を務める。
メモを読むと、張氏は、大学を卒業してから2012年にByteDanceを設立するまでの間、将来のことを考える時間が多かったと振り返っている。その結果、機械学習が人々の情報との出会い方を大きく変えるだろうという結論に達し、その考えがByteDanceのToutiao(今日頭条)やTikTokなどのような、アルゴリズムを駆使したコンテンツ配信の基礎となった。しかし、CEOとしての彼は「プレゼンテーションを聞き、承認するか対処し、受動的に決断する」ことに追われていたという。
「イノベーションと成功は、何年にもわたって可能性を探求し、想像することに根ざしています。しかし、未来について本当に洞察力のある人はほとんどいないため、(たいてい)現在や過去の成果をモデルにすることを好みます」と同氏は書き、米国のテック巨人たちをロールモデルとして挙げている。
「人々は電気自動車の成功に舌を巻いていますが、Tesla(テスラ)が設立されたのは18年前で、最初に実験したのはノートパソコンのバッテリーだったことを忘れています。また、Apple(アップル)のソフトウェア管理ツールであるHomeBrewについては知られていますが、1970年代にコンピューターギークたちがHomeBrew ClubでApple I(アップル ワン)について議論していたことを知っている人はほとんどいません」。
また、張氏は自分が理想的なマネージャータイプではないことを認識しており「実際に人を管理するよりも、組織や市場原理を分析し、それらの理論を活用してマネージメント業務をさらに軽減することに興味がある」と述べた。
「同様に、私はあまり社交的ではなく、ネットや読書、音楽鑑賞、可能性を空想するようなひとりでする活動を好みます」とも。
一方の梁氏は、同社の研究開発や、社内でのコラボレーションツールとしてスタートし、後に他の企業に販売される本格的なSaaS製品へと発展したLarkプロジェクトを率いてきた経験から、CEOの責務により適していると思われる。
最近、日常業務から退いたもう1人の著名な中国のテック企業のトップは、Alibaba(アリババ)のライバルであるPinduoduo(拼多多、ピンドゥオドゥオ)の創業者、Colin Huang(コリン・フアン、黄峥)氏だ。黄氏は、EC企業である同社が今後の成長の原動力になると期待している、食品やライフサイエンスの分野に注力するために一線を退いた。