地球近傍小惑星「ベンヌ」へ向かって降下する無人探査機「オシリス・レックス」を再現した画像。米航空宇宙局提供(2020年8月21日提供)。
【AFP=時事】地球近傍小惑星「ベンヌ」で昨年、塵(ちり)のサンプルを採取した米航空宇宙局の無人探査機「オシリス・レックス」が10日、地球を目指し長い帰還の途に就いた。米ユタ州の砂漠に着陸するのは、2023年9月24日の予定。
NASAのビデオ放送でミッションの主任研究員ダンテ・ローレッタ氏は「オシリス・レックスは帰還の途に就き、現在ベンヌから時速約965キロ以上で遠ざかっている」と語った。
探査機のスラスタ(推進装置)は無事7分間にわたって作動。約23億キロの旅路となる軌道に乗った。
オシリス・レックスは、小惑星ベンヌで採取した塵や石のかけらなど60グラム以上を地球へ持ち帰ろうとしている。アポロ計画の月の石以来、NASAが採取したサンプル量として最大となる。
サンプルが入ったカプセルは2年半後、地球の大気圏に突入する数時間前に探査機から放出され、パラシュートによって減速されて着陸する。その後、米テキサス州ヒューストンにあるNASAのジョンソン宇宙センターに運ばれるが、75%はそのまま保存され、将来世代の研究に託されるという。
ベンヌのサンプルの分析により、太陽系の形成や居住可能な惑星としての地球の進化について理解が深まることが期待される。