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2021年春のアップルイベントを観て膨らむ妄想【柴田文彦】

なかなか収束しないコロナ禍の中、今年もまたアップルの新製品発表イベント「春の祭典」が開催された。もちろん完全オンラインでの開催で、イベントの様子はアップルのサイトやアップル公式YouTubeサイトで、誰でもいつでも観ることができる。一種の職業病なのだがこうしたイベントを観ると、発表された個々の製品やサービス自体よりも、むしろ何がどのような順番でどれくらいの時間をかけて発表されたかということが、まず気になってしまう。それによって、アップルがどこにどれだけ力を入れようとしているかが見えてくるからだ。 そこで、まずそのあたりのプライオリティーを確認したあと、印象に残った発表について私見を述べることにする。 アップルが最も注力しているのは新iPad Pro、次が新iMac 今回のアップルイベント全体の時間は、約1時間だった。イントロやエンドロールを含めると、正確には1時間1分3秒となる。その中で細かく挙げていけば、実に多くの「こと、もの」が発表された。それらを大きく3つに分けて順番に書くとすれば、「その他」「iMac」「iPad Pro」となるだろう。その他から始まるのも変だと思われるかもしれないが、こうした発表の場合、順番としてはもっとも重要なものが最後になるのが普通だろう。常にそうだとは限らないかもしれないが、意外性があって、発表するインパクトの強いものほど後にしたいと考えるのは当然だ。その逆にしたら、もともとそれほど印象に残らないものが、ますます霞んでしまうからだ。 その他に何が含まれるのかはとりあえず置いておいて、大きな3つの区切りに割り当てられた時間を確認してみよう。途中、プロモーションビデオのようなものが挟まれていたりして、厳密な割り振りを判断しにくい部分もあるものの、その他には約18分、iMacにも約18分、そして残りの約25分がiPad Proだった。順番からしても、割り振られた時間の長さからしても、今回の発表でアップルがもっとも力を注いでいたのが新しいiPad Proであり、次がiMacであり、その他のものをまとめても、その2つのいずれにも及ばないと考えられる。 この記事ではここから先、アップルの発表とは逆の順番で、つまり重要だと考えられるものから先に取り上げていく。幸いなことに、今回はその順番は筆者の関心の高さとも一致している。 MacとiPadのキメラとなったiPad Pro 事前の噂では、今回の発表のメインは新しいiPad Proではないかとも言われていた。やはりという感じで、iPad Proの登場自体には何の驚きもなかった。それでも筆者が驚かされたのは、そのiPad ProがM1チップを搭載して登場したことだ。 M1チップについては、もはや何も説明の必要はないかもしれない。昨年になって、長年Macシリーズに採用してきたインテル製CPUから、独自のApple Siliconへの転換を発表したアップルが、その第1弾として作ったチップだ。これまで、iPhoneやiPadに採用してきた「Aで始まる名前のチップ」に対して、M1のMは「MacのM」だろうと筆者は考えていた。そのM1をiPad Proが採用したということは、Pad ProがMac並の性能を獲得したということにとどまらず、Macの心臓を移植されたようなものだ。M1は、いわゆるSoC(System on a Chip)の一種で、1つのチップにシステム全体を構成する機能を集約したようなもの。それがMacと同じになったのだから、中身はほぼMacと言っていい。ただし外観や操作性は、これまでと同様のiPad Proには違いないし、動作するOSもiPadOS、その上で動くアプリも当然iPad用のものだ。これはもう、MacとiPadのキメラのようなマシンと言っていいだろう。 iPad ProにM1チップが載るのなら、ついでにmacOSも載せて欲しいと考えるのは、Macユーザーの自然な願望だろう。その実現には、少なくとも性能的には何の問題もないはずだ。今回のiPad ProのM1チップの仕様を確認しても、発表されている範囲の数値は、Macに搭載されているものと同じ。4つの高性能コアと4つの高効率コアを組み合わせた8コアのCPU、8コアのGPU、16コアのNeural Engineで、ユニファイドメモリとしてのRAM容量も8GBまたは16GBを用意している。M1とは直接関係がないが、外部のストレージもRAMが8GBのモデルは128GB、256GB、512GBの3種類、RAMが16GBのモデルは1TBまたは2TBのストレージ容量で、macOSを搭載してMac用のアプリを動作させるのにも、まったく遜色ないスペックを実現している。 iPad Proのハードウェアが、Macのハードウェアと比べて劣っている可能性があるとすれば、複数のThunderboltポートを制御する拡張性の部分くらいのものかもしれない。しかしそれとても、質的なものというよりは、単純に量的なものだと思われる。心臓部のM1チップが同じなのだから、少なくともM1チップを搭載して昨年発売されたMacと比べて、I/O性能で特に劣るということもないはずだ。 実際にmacOSとiPadOSは、基礎的な部分の共通化が進んでいると考えられるが、もちろん違いもある。分かりやすいところでは、macOSはタッチスクリーンや内蔵カメラなど、iPadにとっては基本的な機能を直接サポートしていない。現状のmacOSを移植しただけでは、こうした機能が使えず、iPad ProでmacOSを動かす意味は薄れてしまう。しかし、アップルがその気になりさえすれば、そうした機能をmacOS上で実現するのも、それほど難しくないだろう。 iPad Pro上でmacOSが動けば、これまでのiPadでは使えなかったMacの、特にプロ用の領域のアプリが使えるようになるのだから、メリットはかなり大きい。しかもM1用のBig Sur上では、多くのiPadアプリも動く。 もちろん、本当にiPad Pro上で動かしたいのは、macOSではなくmacOS用のアプリの方だ。もしアップルが、Logic ProやFinal Cut ProなどをiPadOS上でも使えるようにしてくれるのなら、それでもかまわないという人も多いだろう。 今回の発表でも、サードパーティのデベロッパーが、iPad Proへの期待を表明したショートインタビュー的なビデオが流されていた。サードパーティ製も含めてプロ用アプリの環境が充実すれば、iPad Proは、今よりもずっと魅力的なものになるだろう。今述べたことは、今のところ筆者の妄想に過ぎないが、今回のM1チップの採用が、その妄想を現実にするための扉を開いてくれるものであることを願ってやまない。 iPad Proにスタンドが付いたようなiMac 今回の発表で新しいiMacが出るというのは、少なくとも筆者にとっては意外だった。しかも、思いもよらなかった7色のボディカラーをまとっての登場だ。もともとパソコンのボティカラーに多色展開を導入したという点でも、まだブラウン管時代だが、iMacがパイオニア的な存在だった。そう考えると、今回の7色展開は、ある意味原点回帰なのかもしれない。あるいは、色の数はともかく、一種のレインボーカラーであることから、アップルとしてLGBTをサポートする姿勢を色に込めたのではないかという気もしてくる。 今回のiMacが大きく変わったのは、もちろん色だけではない。本体の形状も、液晶モデルがバックパネルにアルミニウムを採用して以降、もっとも大きく変わったと言える。どこでも厚さが変わらない薄い板状のボディは、あたかも大盤のiPad Proにスタンドを取り付けたような印象だ。iPad Proの中身がMacに近付けば、iMacの外観はiPad Proに近付くという不思議な展開だ。 ディスプレー部分のベゼルの幅の狭さも、iPad Proを彷彿とさせる。ただし、それも左右と上の3辺に限ってのことだ。下辺については、本来のベゼルの下に従来と同様、かなり幅広の本体フレームが出っ張っている。この部分は、iMacのデザインの1つのアイデンティティでもあり、今回もそれを維持したと見ることもできる。実際にその内側には、M1チップを搭載したロジックボードと、その冷却機構、さらにはスピーカーシステムなどが収まっているようだ。M1チップの発熱を考えると、このアルミフレームの出っ張りはやむを得ないのかもしれない。 しかし、そんな寛容な考えもM1チップを搭載した上で、従来同様の薄さと4辺とも幅の狭いベゼルを実現したiPad Proを見せられてしまえば、吹き飛ばざるを得ない。ユーザーとしては、旧来のiMacのデザインの継承などにはこだわらず、実質的に狭いベゼルを実現して欲しかったところだ。ついでに言えば、本体とカラーコーディネートされたスタンドも、そろそろ高さ調整を可能にしてくれても良かったのではないかと思う。 高さ調整に関しては、今回もスタンドの代わりにVESAマウントアダプタを搭載したモデルも用意されている。そちらを選択することで、高さ調整の問題はある程度解決する。今回から、標準スタンドモデルとVESAマウントモデルの価格が同じになったのもうれしい変更だ。ただし、ディスプレー下部の本体フレームの出っ張りはそのままなので、VESAモデルでも卓上ギリギリにディスプレーを配置することができないのが残念な点だ。 今回の24インチというのは、もちろん、これまでにないサイズだ。アップルストアのラインアップを見ても、従来の21.5インチモデルを置き換えるものだろう。現状では、21.5インチも低価格モデルが1つだけ残っているが、やがて完全に置き換えられる運命だと考えられる。確かに、これまでのiMacは、21.5インチではちょっと小さいが、27インチでは大きすぎる、と感じていた人が多かったのではないだろうか。24インチというのは、少なくともそうした人にとってちょうどいいサイズと考えられる。 となると気になるのが、現行の27インチモデルがどうなるかだ。筆者の勝手な予想では、これは16インチのMacBook Proと同じような扱いになるのではないかと考えている。つまり、ディスプレーが小さい方のモデル、MacBook Proで言えば13インチモデルが先にApple Silicon化され、大画面のモデルは次にApple Silicon化されるタイミングを待っているという状況だ。 iMacもMacBook Proも、どちらかと言うと画面の小さい方はエントリーモデルで、画面の大きい方がよりハイエンドのユーザー向けという位置付けとなっている。それを考えると、まだ画面サイズがどうなるかわからないものの、iMacの27インチやMacBook Proの16インチモデルは、M1よりも高性能のApple Siliconチップを搭載して登場する可能性が高い。それがM2と呼ばれるのか、何と呼ばれるのかはわからないが、おそらく遅くとも今年中には何らかの動きがあるはずだと期待は高まる。「その他」で気になるなるのはApple TV 4K 最後に、この記事の最初の方で「その他」にまとめた内容にも触れておこう。項目としては盛りだくさんで、Apple Card、Apple Podcasts、iPhone 12の新色、「探す」、AirTag、Apple TVの話などが短時間に詰め込まれていた。そんな中で、筆者として気になったものを1つだけ挙げるとすれば、それはAirTag、ではなくApple TV 4Kの方だ。 新しくなったApple TV HDがA9チップを採用しているのに対して、4KモデルはA12を搭載する。これは現行のiPadと同じチップで、メモリやストレージ容量は非公開ながら、少なくともiPadと同等の性能は発揮できそうだと期待しても間違いではないだろう。そうなると、どう考えてもテレビを観るだけではもったいない気がしてくる。この先は、やはり筆者の妄想だが、Apple TVでiOSやiPadOSのアプリが動くようになれば、ほとんどデスクトップ型のiPadとして使える。 もしそんなことが実現すれば、iPadどころかMacとの棲み分けにも微妙な領域が生じてしまう。それなりのニーズはあるだろうと思われるが、製品のセグメント分けを考えれば、残念ながらほとんど実現の希望は持てない妄想に過ぎないだろう。


2021-04-22 19:58:13



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